2016年6月4日土曜日

引っ越し

 

 さて、これから関西から関東、あるいはそれに限らず長距離を引っ越そうと思っている者にとって、私の経験が少しは役に立つと思うので、それを列記しようと思う。

●不動産屋の選び方
 ネット上に悪口が書かれていない不動産屋を私は見たことがない。が、ただ一つ言えることは、ほとんどの不動産屋さんは普通の人だということだ。
 人生といっしょで、悪い人に当たったらその人は避ければよいのだ。
 結局のところ有名な不動産屋は似たりよったりの方法(オプションといういらない付加価値)で顧客から現金を回収しようとするので、数年単位の長い目で見れば、それほど致命的に費用が高かったり安かったりすることはない。家を借りる(あるいは買う)とき一番気になるのはやはり費用だが、おそらくこのブログの読者は数千万円の家や土地を買うガラではあるまい。数十万、数百万円の差額ならともかく、数千円の出費の多寡は大目に見よう。家を借りるには、普通は10万円以上かかる。こんなところでつまずいていては、引っ越しはできない。

●引っ越し先の選び方
 人それぞれ事情が違うのでくわしくは言いにくいが、結局はその場所が「気に入るか否か」である。
 気にいった物件があったら、少し予定より費用が高くともそこに決めるのが良い。私自身、引っ越し経験が何回かあるが、結局大事なのはお金より自分と部屋とのフィーリングである。
 人間は「ベイズ推定」というのを常に行なっている。いわば無意識で物事の良し悪しを計算してるのだ。
 ヘタに頭で考えず、自分の無意識を信頼しよう。田舎でない限り、住めそうな部屋はたくさんある。ヘンな理屈はこねないのが吉だ。

●引っ越し業者の選び方
 最近はインターネットが普及してるので、「引っ越し 業者」で検索するとずらずら出てくる。うっかりまとめサイトに登録してしまうと無数の業者からの電話がその日一日中鳴り響き、頼みもしない保険のメールまで頻繁に送りつけられてくるようになる。
 業者に頼んで引っ越しをするには、必ず「見積もり」という儀式を受けなければならない。仰々しく書いたが、ようは荷物の量と引っ越し先の住所を照らし合わせ、費用を計算する作業のことだ。
 私は三つの会社に見積もりを出した。
 A社:11万円。N社:17万円。C社:5万5千円。
 当然C社にしたし、ついでに荷物を減らすことを条件に4万9千円までねぎった。

●荷物の処分の仕方
 世の中には、食べられるものと食べられないものがあるのと同じく、売れるものと売れないものがある。ここでは物の売却について書く。

・本
 私は荷物に本が多いという、引っ越しの現場の人からしたら嫌なタイプの依頼人である。
 荷物の量は、あまり極端に多いと、余計に料金がかかる可能性がある。減らすにこしたことはない。
 とくに売れるものは、積極的に売っていけばよいだろう。今日び、本の買い取り値段は二束三文だが、それでも現金収入は出費の多い引っ越しという行事では足しになるはずだ。
 明らかに値段のつかないものは、宅配買取を利用しよう。インターネットで簡単なプロフィールを入力すれば、家まで運送会社が取りに来てくれるし、ダンボールなどの梱包材も基本無料だ。値段の付かない本を押し付けられる業者からしたらいい迷惑だが、ちゃんとしたところなら紙の資源回収を利用して収入にしているから、気にせず寄付する感覚で送付しよう。どうせ値段が付いても一冊一円の世界だ。
 一時期買い取り値段の安さで叩かれたBOOKOFFだが、最近は捨てたものではない。確かに新刊で買った本が30円、50円で買い取られるあいかわらずの苦痛はつきものだが、どうも在庫をコンピュータで効率良く把握するシステムを導入したようで、岩波文庫やハヤカワNFなどの硬派なものもちゃんと100円、200円で買い取ってくれるようになった。
 古いマンガやムック本を持っているのなら、まんだらけなどの古いマンガ専門店に問いあわせてみるといい。BOOKOFFで買い取りを拒否されたものが、100円~200円で売れることがある。
 町の小さな古本屋は、あまり利用しない方がいい。あなたが絶版、もしくは希少書を持っていて、本屋の主人もその売る本の分野に強かったら売ってもいいが、そうでなければBOOKOFFに行った方がいい。
 町の古本屋の経営は厳しく、安い買い取り値段をつけざるを得ないのだ。

・その他売れるもの
 ゲームは意外に値段がつく。ゲームキューブやセガサターンなどの、古いハードのソフトで、ダウンロード販売もされていないものは、1000~2000円の値段が付く。
 ゲームボーイのソフトも、あなどるなかれ。箱なし説明書なしの初代ポケモン(赤)が、300円で売れた。
 CDは、古いゲームのサントラとか、すでに製造されておらずファンにはたまらないアイテムが売れ筋のようだ。
 食玩やトレーディングカードは、いらないものはすぐ売ることをおススメする。発売されて日がたつほど、買い取り価格が安くなり、ついには値段がつかなくなる。
 まあ一番いいのは、カードや食玩に手を出さないことだけどな!
 エアーガンやモデルガンも、ぱっと見では悪い値段はつかない。もっとももともとの買値を思い出すと、なかなか凹まされるが。
 お酒も売れる。自分の見た例では、山崎のウィスキー(特に樽に十年以上寝かしておいたもの)が、良い値がついていた。
 ちなみに私は山崎の12年ものを持っているが、自分で呑みたいから売らなかった。

・売れないもの
 衣類は、捨てるのはもったいないので、途上国に寄付しよう。ユニクロやイオンでは、そうゆうキャンペーンを定期的にやっている。イオンでは引き換えで衣料品の割引券がもらえたりする。
 また古いタオルは、雑巾として、あるいは荷物を箱詰めしたときの詰め物として極めて有能なので、絶対に捨てないこと。
 あまっている食糧は極力食べて減らそう。21世紀の日本では、よほどの辺境でなければだいたいの食糧は売っている。「明日の食糧を買う金がない」という人は、このブログでは扱いかねるので、速やかにハローワークか役所に相談されたい。
 食糧では、つい安くて買いすぎた春タマネギや、お中元でもらったサラダ油、非常用の「六甲のおいしい水(2リットル6本セット)」が強敵として立ちふさがるだろう。
 しかしめげてはいけない。引っ越し業者さんに腐ってるのに芽吹いているタマネギや関東でも余裕で買える水、一人暮らしなのになんで食用油の詰め合わせを贈ってくるんだ一人じゃ食いきれねえよバカヤローなオイルたちを、運ばせるのは忍びない。
 私は「神戸づくり」というキリンが出した神戸限定のビールをわざわざ6缶パックで持っていったが、これはまったく同じ会社が同じデザインで出している「横浜づくり」と飲み比べるためである。こうゆう確固たる目標がない限り、食糧は引っ越し先で荷物を整理するとき地味に邪魔になる。

 個人的に一番困った荷物が、ヒーター用の灯油である。
 引っ越し業者は原則として、危険物の運搬は承っていない。しかし事前にWiki先生で調べたところ、引っ越し先の冬は氷点下。暖房は必須だし、買いなおすにしても灯油は高い。冬までに第三次世界大戦が勃発して石油製品が手に入らなくなる心配もある。どうする、俺?
 私の打開策はこうだ。ようは分散して、ネズミ輸送式に持って行ってもらえばよいのだ。
 ありていに言えば、二リットルの空のペットボトル(幸いたくさんあった)に小分けし、服とか食糧とか食器とかの人畜無害なダンボールに、そっと忍ばせるのだ。
 これなら業者さんは、危険物と気づかず運んでくれる。やったぜ、フラン!
 もちろん、液漏れが起こらないようにするのは当然の配慮だ。キャップの部分はテープで封印し、さらに全体を包み紙とビニールでくるむ。においがしなくなったらOKだ。
 まあ、それでも余ってしまい、結局古新聞に吸わせて捨ててしまったのだが。

 自分の、ものを捨てるときの方法を参考までに記しておく。
 ふすまやクローゼットの奥には誰しも、使わないもの、何年もつかっていないものをしまいこんでいるはずだ。
 そうゆうものがあったとき、問答無用でいったん全部を、ゴミ袋にいれてしまう。情けは無用だ。
 そこに入っているのは、使えそうで使えない日用雑貨だったり、もらい物の服だったり、あるいは思い出の品かもしれない。
 その袋に入れたものをちらりと見て、どうしても持っていきたいものは2、3点回収する。あとはえいやで捨てる。
 あるいは、他の似たようないらないものを入れることで、かわりにその品物を取り出す。このトレードは、きっちり守らなければならない。
 でないと自分にとって本当に必要なものが、淘汰されない。

 ※ ※ ※

 さて、とにかく言いたいのは、引っ越しでは荷物をごろごろと持っていかず、気前よく処分してしまおう、ということだ。
 必要なのは「モッタイナイ」精神を捨てて、荷物を手放すことである。せっかくの「引っ越し」という機会なのだから、心機一転、新しいものを買うというのも悪くはないだろう。

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