2015年7月7日火曜日

 レッドアイズはペンデュラムの夢を見るか?

 どうも。TRPG=テーブルゲーム=遊戯王のお時間です。
 
 今回紹介するのは、こちらのカードを使ったデッキでございます。
〈真紅眼の黒竜――レッドアイズ・ブラックドラゴン〉
 
 遊戯王をやる人なら誰もが知っている古参カードにして、生け贄二枚という同じ召喚条件のブルーアイズよりはるかに弱いカード。アニメでもエースカードになれず、リアルのデュエルでも使っている人をほとんど見かけない不遇のドラゴン。本日はこれで、みなさんのお時間を拝借したいと思います。
 
 最近発売元のコナミは、昔(特に初代遊戯王)のカードを生かせる新規カードを続々登場させていて、今年になってまとめて「レッドアイズ」関連のカードが出た。重要なのはこの二つ。
 
 モンスターカード:〈伝説の黒石〉
 魔法カード:〈真紅眼融合――レッドアイズ・フュージョン〉
〈伝説の黒石〉は、このモンスター一枚の「生け贄」でレッドアイズモンスター一体を特殊召喚するというもので、かつては二枚の生け贄が必要だった「真紅眼の黒竜――レッドアイズ・ブラックドラゴン」をこれ一枚でデッキから召喚できるというもの。
〈真紅眼融合――レッドアイズ・フュージョン〉は、自分の手札、デッキ、フィールドから、融合モンスターの召喚条件に定められている融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズモンスター」を融合素材とする融合モンスター一体をエクストラデッキから融合召喚する、といった効果。
 この二枚目の魔法カード、古参プレイヤーからしたらキ●ガイじみた性能で、これ一枚あればかつて召喚に四苦八苦した〈ブラック・デーモンズ・ドラゴン〉や〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉をポンと出せる上、「墓地肥やし(極めて変な日本語だが、遊戯王では大変重要な概念)までできてしまう。
 
◆このデッキの大まかな戦い方
1.まず、〈伝説の黒石〉を墓地に落とす。レッドアイズの生け贄にして送ってもいいし、現在の遊戯王では、送る方法はたくさんある。
2.〈真紅眼融合〉で、攻撃力3500(有名なブルーアイズの攻撃力が3000)の〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉をポンと出す。
3.墓地にいるとき、〈伝説の黒石〉は二つ目のカード効果が使える。「自分の墓地のレベル7以下のレッドアイズモンスター(〈真紅眼の黒竜――レッドアイズ・ブラックドラゴン〉はもちろん該当)一体をデッキに戻し、自身は手札に加わる」を発動し、〈真紅眼融合〉で墓地に送ったカードをデッキに戻す。
4.二枚目の〈真紅眼融合〉でまた3500(もしくは他に強い効果を持ったカード)を出す。同時に、手札に戻った〈伝説の黒石〉をモンスターゾーンにセットする。
5.〈伝説の黒石〉は攻撃力、守備力ともに0なので、相手に簡単に破壊され、墓地に送られる(破壊されなければ、次の自分のターンでレッドアイズの生け贄にして墓地に送ってやればよい)。
 墓地にいる〈伝説の黒石〉の効果を発動して、二枚目の〈真紅眼融合〉でいけにえに捧げたレッドアイズをデッキに戻す。こうすれば、デッキに融合素材がない! という事態が回避できる。
6.三枚目の〈真紅眼融合〉でまた攻撃力3500(あるいは戦況にあった効果を持つカード)を融合召喚。遊戯王のプレイヤーのライフは8000なので、3500のモンスターを連続三回も出したら、その時点で勝てるはず。
 ワンポイントとしては、自分のレッドアイズモンスターには極力〈黒鋼竜(ブラックメタルドラゴン)〉を装備させること。このカード、モンスターのくせに(レッドアイズ限定だけど)モンスターに装備させることができ、しかもフィールドから墓地に送られたとき、デッキから「レッドアイズ」カードを一枚手札に加えられる。
 つまり、このカードで〈真紅眼融合――レッドアイズ・フュージョン〉をデッキから手札に「釣ってくる」ことができるのだ。
 
◆実際に戦ってみた
 さてこのデッキ、実際に使ってみるとかなり気分がいい。
 十数年前の小学生のとき、出したくても出せなくて悶々とした〈ブラック・デーモンズ・ドラゴン〉や〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉がおもしろいぐらい簡単に出せる上、少し頭を使ったデッキ構成をすれば、それが毎ターン行なえる。
 圧倒的パワーで敵をねじ伏せる、単純で純粋な戦い方ができ、昨今のデュエルによくあるわからないことがあるたびに有志が作った遊戯王ウィキペディアに頼る、といったゲームの中断がない。融合召喚を多用するから、墓地にドラゴンがあっという間にたまり、遊戯王最強攻撃力5000を誇る〈F・G・D――ファイブ・ゴッド・ドラゴン〉(魔法カード〈龍の鑑〉を使って、墓地のドラゴン族を五枚ゲームから除外して召喚)でさえあっという間に召喚できる。前述のようにライフが8000しかないゲームなのに、フィールドに合計11000の攻撃力のモンスターたちが並ぶこともめずらしくない。
 
 中途半端な攻撃力のモンスターを展開して、3~4ターン目に切り札を出そうとしてくるデッキ相手には、非常に勝率がよい。
 
 ただ、ここまで書いといてなんだが、強いデッキかと言われると、そうでもない。
 昨今流行のペンデュラムデッキには勝てないし、似たようなパワーデッキの「サイバー流」にも苦戦する。罠カードをたくさん投入したメタデッキ相手には召喚すらままならないし、そしてあたりまえのことだが、ちゃんと金をかけた――つまりいいカードを買いそろえた――デッキ・エクストラデッキを持っているやつには、ほぼ確実に負ける。
 
 あくまで、古参のプレイヤーを喜ばせるための、「ファンデッキ」の域を出ないだろう。
 
 それでも、遊戯王の出戻りを考えている人になら、ぜひおススメする。昔遊戯王をやっていた人なら〈真紅眼の黒竜〉ぐらい2、3枚持っているだろうから、押入れの奥の彼が再び陽の目を見る、絶好のチャンスである。
 
 
 
 小さいころの思い出が、今でも活躍できるというのは、なかなか感慨深いものだ。