2017年4月24日月曜日

MTG アモンケットプレリリース


4月23日のMTGの「アモンケット」のプレリリースに参加してきたのでちょっと書く。

 
 箱はこんな感じ

 プレリリースというのは、「先行発売会」兼「体験会」みたいなものだな。4月28日発売の「アモンケット」シリーズを、一週間早く「お試し」できますよってイベントだ。MTGを扱っているカードショップで実施される。

で、こんなん出ましたー




 このカードを初めて見たとき「遊戯王のペンデュラムか!?」って思った。「分割カードっていうらしいけど、そうゆうカードを見たことがなかったのだ。初心者だからな。



で、「体験会」だから、当然デュエルもあるわけだ。デッキは40枚で、アモンケットのプレリリースボックスの中からのみ(基本土地は除く)でデッキを構築する。

自分は青緑デッキで、

①このカードで手札を肥やしつつカードを捨てて・・・

②カードが捨てられたときに「飛行トークンクリーチャー」を出すこのカードの効果でアタッカーを量産しつつ・・・

③このカルトーシュカードをクリーチャーに装備させ、+1/+1修正と飛行を与える。また①のカードはカルトーシュカードが場に出たとき手札に戻ってくるので、また場に出して効果を発動できるって寸法。

では、対戦結果!

一戦目 青緑黒×○×
 その店の店主と対戦。戦闘するだけでその相手を殺す(「接死」効果)黒のクモで粘られたあげく、「魔法の効果の対象にならない」ワニに噛み殺されて負け。

二戦目 白黒 ××
 なんか、攻撃したらライフを回復する(「反魂」効果)猫に殺された。

三戦目 不戦勝
 


 余談だけど、MTGっていわゆる「萌えスリーブ」を使っている人がほとんどいない。デッキケースとかは、けっこうきわどいの使ってる人がいるんだけど。



以上。近況でした。
ーーー

2017年4月18日火曜日

不思議な一人遊び

バスに乗り遅れた。17時40分のバスだった。

山からの帰りのバスは遅い。夕方には最終便が出る。普通日帰りの登山客は、次の日との兼ね合いで早めに帰りたがるからだ。

だから、麓まで歩いて帰ることにした。

距離的には15キロ〜20キロほどだろうか。山登りをするような人間にとって、ものすごい距離というわけではない。

空にはさえぎるもののない夕日が浮かんでいる。雪に埋もれた湖が朱に染まっている。アスファルトの道を歩き出した。

せっかくなので、スマホゲームのポケモンGOをすることにした。現実で歩いた距離が意味を持つゲームなので、いろいろはかどりそうだ。

さて、物語はここから始まる。



ちょうど超レアポケモンのトゲチックに手こずっていたときのことだ。

突然「電源を切る」と出てスマホがシャットダウンしてしまったのだ。

バッテリーは、つい数分前に確認したときは15パーセント。きれるような残量ではない。

仕方ないので、充電用バッテリーにつないでカバンにしまい、そのまま歩くことにした。

蛇行するアスファルトの道は山のはじや丘を幾度も迂回し、やがて山と山に挟まれた空間出た。

枯れ木の雪山がほぼ真横からあたる夕日に染まり、血の色としか思えない色が広がっていた。

その日の早朝、始発電車に乗るとき、自転車で事故を起こして救急搬送される男を見たのだが、その現場の地面を思いださせた。

すでに鳴かれたり鳴き返したりしてコミュニケーションをとっていたカラスもいない。黙々と歩くのを続ける。

そこで、ある遊びを思いついた。

「自分は自分に追いつけるか?」という空想遊びだ。

まず、自分の数十メートル先に、もう一人の自分が歩いていると想像する。その自分の肩を、後を追う自分がたたいたら自分の勝ち、たたけなかったらもう一人の自分が勝ちという、簡単なゲームだ。

まずは、目を細めて、もう一人の自分を想像した。

すぐに、紺色のウィンドブレイカーを着て、ダークグリーンのカーゴパンツをはいた自分が歩き出す。今着ている格好ではないが、自分がよくする服装だ。

相手との距離は、だいたい90メートル先に設定した。それ以上近づけると、相手の髪のつやとか服のシワとかを想像しなければならず、よほど集中しないと再現できないのだ。

思えば、小さいころは、もっと上手にできたものだ。自分で生み出した幻覚に本気で怖がれたのだ。ところがあるとき「がくっ」と下がって、今ではある程度の水準をキープするので精一杯だ。

さて、自分を作ったので、今度はルールを決めることにした。直感的に、すぐに決まった。

・走ってはいけない
・真横に行くまで、自分の顔を見てはいけない

お互い歩きながら、ゲームが始まる。追いつけたら私が勝ち、追いつけなくても私の勝ち。

自分の想像力を駆使した、シンプルなゲームだ。

数分ごとに空は灰色になり、だんだんあたりも色彩を欠いていく。歩行者は絶無で、ごくごくまれに自動車が通るだけだ。その道は歩道がなく、家もなく、自販機さえない。道が仮に直線なら、田舎の高速道路だと思うだろう。

U字のカーブのたびに、相手の顔をのぞきこんでしまわないよう、顔を背けなければならなかった。

なんとか距離を縮めたいと思うも、自分の想像力ではまだ果たせそうにない。辺りが暗くなれば、もう少しうまく想像できそうだ。道はまだまだ長い。しばらくは楽しめそうだ。

目の前に歩く自分を生み出すには、意識はするけど直視はしないことが重要だ。目の端にとどめておくだけなら、先行する自分の詳しいディテールを考える必要がないからだ。

やがて空は暗くなり、あたりは黒くなった。

そうすると、距離を縮めることができた。

だいたい80メートルほどだろうか。明るさがないことによって集中力が増し、前の自分の細部をはっきりさせることができた。

服は風ではためき、一歩一歩上げる足が見える。さすがに靴の裏とかは無理だが、徐々に目の前の自分が実体を持ってきているのを覚える。

彼は携帯をいじっている。指の動きから察するに、ポケモンGOだろう。おかしかったが、少し失望もした。画面の灯りが灯っていないのだ。自分の想像力もまだまだだ。

再想像すると、灯りがついた。暗い中にくっきりと光が見える。

しばらくすると、森の上から月が顔を覗かせた。

気分が高揚してきた。

体の調子はいい。昼間の山登りで少し足を痛めていたけど、気にならない。

森の中の道を一人で歩く。たまに甲高い奇妙な鳴き声や、木々の梢に丸い塊が浮かんでいるのが見える。

臆病の多くは知識の不足から出てくるものだ。例えば甲高い声にしても、宙に浮くまん丸の影にしても、知らない人からしたら驚き、不安になるものだろう。
ただ、あれはヨタカの鳴き声だとか、ヤドリギがまん丸に立派に芽吹いているとか知っていれば、恐怖はまったくいだかない。

闇が深まるにつれて相手のディテールがますますはっきりとし、距離をつめる。60メートルほどだろうか。後ろから車が通り過ぎたとき、ライトに照らされた目の前の自分があまりにもリアルで、一瞬ビクッとなった。

その自分は、杉の林の間を通る道の、もっとも黒い部分にさしかかったとき、なぜか白いタンクトップ姿に変化した。「集中力が途切れているのか?」と集中しなおすと、集中するたびに服を変える。

そんな、変化、再想像を繰り返していると、やがて相手は、なんとも言えない形になり、3メートルほどの大きさの影の塊になった。

でかく、手足が長い。『ムジュラの仮面』に出てくるラスボスの最終形態みたいなだと思った。

そいつが背中を向けたまま、こちらに歩いて近づいてくる。一瞬目を疑ったものの、迷わずベルトのナイフに手をかけた。登山の時はいつも持ってきているものだ。

右のベルトに通してあるはずのナイフが、なくなっていた。思わず立ち止まった。

相手は、人間の姿に戻っていた。そして、服をまくって、なくしたナイフが入っているケースを見せつけた。

それから相手はまた、変わらず前へと歩き続けた。こちらは立ち止まったまま距離をとり、一〇〇メートルほど離れたところで、また歩き出した。

そこからは、点みたいな相手を見ながら進んだ。もう追いつく気はなくなっていたし、肩をたたこうなど考えもしなかった。

ただ相手は、いくら集中力を切らしても、消えなかった。

二時間ほど歩くと、ようやく街の明かりが遠くに見えてきた。

明らかにラブホテルとわかる建物の前に来たとき、とうとう観念してタクシーを呼ぶことにした。

携帯の電源を入れなおし、地図で調べ、現在地から一番近い配送センターに連絡する。ホテルの名前を言い、すぐに迎えに来てくれと注文する。

「あなたがいるところがわからない」と、言われた。

仕方なく、「もっと目印になりやすい建物の前にきたら改めて連絡する」と言い、また歩く。相手は遠くの街の明かりのせいか、いつのまにか消えている。

古い喫茶店のような建物の前まで来る。幸い、そこには住所が書かれていた。再び連絡し、その住所を言った。

「今は存在していない町名ですね」と配送会社のおっちゃんは言った。

とにかく街明かりは見えている。弱った蛾のように歩き続ける。気にならなかった足の痛みが苦になりだした。

目の前に、誰もいないコンビニが見えた。

見たことない店名で、たぶん地域密着型のコンビニだろう。コンビニなのに、22時で閉まると書いてあった。

中に入ると、レジの奥から店員の青年が出てきた。

「店の前にタクシーを呼んでいいですか?」一言の挨拶の後に、そう言った。

30分後に、タクシーが来た。

タクシーのおっちゃんは、到着に時間がかかったことを侘び、「ずいぶん(山に近い)上から呼ぶからさあ」と理由を言った。その山の上からてくてく歩いて来たと言うと、

「よく無事に戻ってきたねえ」と仕切りに感心していた。

20分かけて、無事に駅に着いた。もう電車がなかったので、その日はホテルに泊まった。

念のためリュックを確認したが、やはりナイフはなかった。高校の時から愛用しているもので、その時持っていた持ち物の中で一番大事なものだった。

しかし腑に落ちない。ナイフケースは、自衛隊駐屯地の売店で買ったもので、そう簡単にベルトから落ちるようなものではないのだが。

今回の話ここまでだ。特に落ちはないが、不思議な話というのはそういうものだと思う。

2017年4月6日木曜日

赤城を持って赤城山 後編

そういえば雄々しく雪の赤城山に挑む俺氏のスペックを紹介してなかった。

【スペック】
名前:ある芸人とある声優を足して2で
   割ったような名前
性別:♂
年齢:初代遊戯王と初代ポケモンが発売
   されたとき小学生
体型:身長173 体重57
体力:中の上(好意的解釈)
今まで登った山:大文字山、天王山、天保山
好きな艦娘:艦これやったことない
好きなゲームBGM
『天地創造』のライトフィールドの曲
『テイルズオブファンタジア』の「Fight Of Spirit」
『ポケモン金銀』の「なみのり」のテーマ


※ ※ ※

    赤城を持って赤城山 後編

さて、駒ケ岳から赤城山最高峰である黒檜山(くろびさん、1,828メートル)までの道は、こんな様子になっている。


白と黒の、色が変わっているところをずっと進んで、頂上を目指す感じだ。


 
実はこの道、「関東ふれあい道」なんて平和な名前がついてるんだけど、いったいどうしてこんなネーミングセンスを発揮したんだろう? どう考えてもターナーの絵とかで死地に向かう英軍が通ってそうな道だ。それとも夏にはもろもろの生物と触れあえるのか?

まあいい。よつばちゃんも言っている。「白と黒はいい」と。

帰りのバスの時間もあることだし、前進! 前進!

・・・あれ、見た目よりアップダウンがきつい・・・

このぐらいの標高になると、すでに平地にあるような普通の木は生えていない。特に赤城山のような火山性の台地だと、必要な栄養が足りなくて、貧困に強い木ばかりだ。

白樺オンリーの森が形成されて、しかも下半分が雪の下だ。

雪の下60センチで春を待つササ

しかもその枝は弱いから、うっかり手をかけたりすると容赦なくボキリといく。

ところで読者のみなさんは、気分を盛り上げるときに口ずさむ曲はあるだろうか?

私は山登りに来てちょっときつい道になると、FFⅣの山の曲を思い浮かべる。ほら、主人公が黒から白に変わる悲劇のイベントが起こるダンジョンのBGMだ。

あと、雪がちらつく山なら、DS版『クロノ・トリガー』の「死の山」の曲だな。この曲はスーファミ時代にはすでに作られたんだけど、DSでの移植の際に実装されたBGMだ。

物語の終盤、世界崩壊後の悪霊さまよう山というリアルではまず行きたくないところに、主人公の命を救うためにおもむくのだけど、そのシチュエーションとBGMがめちゃくちゃあってるのだ(調べたが「歌う山」という曲名だそうだ)。

シンプルな構成でクロトリ一番の曲ではないかもしれないが、ぜひ一度ご試聴あれ。

で、この曲を口ずさむと言うことは、道がちょっとというかかなりきつい証だ。

なんかさあ、道がさあ、30度ぐらいにきゅっと伸びてるんだけど・・・

この傾斜が、雪のすべり台みたいになってんの。足を取りつつ滑らせるっていう、最悪の道だ。

よし、ヨツンヴァインモードに変身だ! これは足の裏だけでなく、腕や膝まで使って地面を這う、超絶アクティブなモードだ。

某緑色の服着て匍匐前進とかする組織で無理やり鍛えさせられた脚力をみるがいい!





――登れねえええ


写真じゃ伝わらないけど、すっげえダメな道なの。ほれ、スーパーマリオのコースで、坂になってて奈落に真っ逆さまな箇所があるでしょ? あんな感じなの。

「さーんぽ進んで3メートル下ーがるー」状態なのだ。

ステッキがほとんど通らないところ頑固なところがあると思えば、「ずぼっ」とはるか下の地面まで貫通する軟弱な部分もあって、「え、ツンデレ・・・ってそんなキャラいらんわぁ」な怒りがわいてくる。

たかが十メートルほどの道を、足場を探してうねりながら登り、5メートル先の中途半端な位置で一息つく。また登り、斜めにそそり立つ不安定な木に寄りかかる。平らな地面が恋しかった。

「俺はこんなところで何をしてるんだ?」とアイディンティティの危機が訪れる。今やっていることを一言で言うなら、――秋物の服でフィギュア持って冬の辺境をさまよっている、だ。

特に下半身が雪でぐっしょり濡れて、風が吹くと水冷式と空冷式をダブルで発揮する。あたりには人がおらず、鳥がおらず、生きている草も見当たらない。

あるのは雪と、貧相な木と、それにもたれる自分。この木がまた腹立たしくて、登るときに手をかけるとここぞというときに折れて、俺に襲いかかってくるのだ。なんだよそのツリートラップ。

しかし、山のいいところは、人生と違って歩けば確実に目的地に着くところだな。


一生に一度は、こうゆう景色を見ておくのも悪くないと思う。


 

時間は15時30分きっかり。地図上では60分かかると詐称されていたコースを、2時間かけて進んだわけだ。

「(大声で)どこがふれあいコースやああああ」

よし、昼飯にしよう!


ところで、この赤城さんに対して、ちょっとした不満が出てきた。

この子、たたねえんだよ・・・

どうゆうことかというと、自力で立つことができないのだ。

いちおう、何かに寄りかからせるか、専用のアームつきスタンドを使えば、立つっちゃ立つんだけど、人生において寄りかかるものは少ないし、スタンドは見栄えがよくない。
 
知り合いの師匠も言っている、「いいフィギュアの条件は、自分で立つこと」だと。

あとこの赤城に関して言えば、パーツがそれぞれ干渉しあって、ポーズがあまり取れないことだな。
 


大まかにこんな風にパーツ分割できるんだけど、煙突をモチーフにした矢筒、ザクシールドみたいな飛行甲板、そして赤城自身の長い髪がそれぞれごっちんこして、弓手なのに「弓を構える」ポーズがままならない。

まあ、これは二頭身デフォルメフィギュアの宿命なのかもしれないな。

しかし、知り合いはこのねんどろいどでぐりぐり遊んでいたから、不思議なものだ。

ここで、30分ジオラマのお時間だ。といっても、3分間もかからないが。

用意するのはフィギュアと、それっぽい雪景色と適当な森だ。


なんかきれいな光景があれば、それっぽい情景は作れる。


背景が青空でも可だ。

ところで、赤城山といえばそれに名をちなんだものがたくさんある。

空母の赤城もそうだし、JRの特急にもその名がついたのがある。赤城颪(おろし)なんていう、六甲おろしに似た現象も存在するし、あの「ガリガリ君」の「赤城製菓」も、この山を社名にいただいているのだ。


そう、赤城といえばガリガリ君である。ふもとの店で買ってきた。安くてうまい、夏のお供だ。

実はこの記事のタイトルである「赤城を持って赤城山」の赤城とは、このガリガリ君のことでもあったのだ! せっかく赤城山に登るのに、艦船の擬人化だけを連れて行くような手抜かりをする男だと思っていたのか?

ちょうどカップヌードルを食べて、ほどよく喉も渇いている。喉の渇きをガリガリ君で癒す、これぞまさに至福の時!

ガリ! これはガリガリ君です!












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・・・・・・・・・・・・寒い・・・

いや、ギャグが寒いんじゃなくて、リアルで寒いんだよ。なお気温は-4℃のもよう。

寒風吹きすさぶ、雪景色の中で、氷菓子なんて食べるもんじゃないね! ちなみにほぼ買ったままの状態で溶けてなかった。

さて、目的が済めば、さっさと降りるに限る。

あ、ちょっと頂上からの写真をもうちょっと撮っておこう。




謎の足跡

なお、登りに3時間近くかかったこの山だが、帰りは50分で戻れた。

体育座りみたいな格好で、雪の上を滑って進んだからな!

下り道 奥の白いのが大沼
たぶん、瞬間最高速度は時速12キロぐらい出てたんじゃないだろうか?

赤城山尻すべりコンテストがあれば、まちがいなく初代チャンピオンだ。

もっとも途中で木にぶつかって、危うく赤城山を朱に染めるところだったがな!

よい子も悪い子も普通の子も、マネしちゃだめだぜ。



滑落すると、マジで死ぬ山だから。



まあ、結局尻すべりの甲斐なくバスに乗り遅れ、歩いてふもとまで行く羽目になったのだが、それはまた別の話だ。


 


 
 

2017年4月5日水曜日

赤城を持って赤城山 前編



 
さあ、いくぞ!
 
※ ※ ※
 
関東には群馬県っていう県があって、特に何もないことで有名なんだけど、実は一つ、気になるスポットがある。
 

 
春だ! 曙だ! 赤城山だ!
 
とゆうわけで、群馬県の赤城山に登ってきた。
 
東京の上野駅から鈍行で1時間50分。硬い座席のおかげでそろそろおケツが痛くなってくる頃合いに、前橋市っていう中堅どころの町に着く。
 

 
そこからは山まで直通バスが出ている。その日は暖かな快晴で、植林された杉に引っかかった雪がふらふらと落ちてくる。それでも道中は路面が凍結しているらしく、バスがチェーンを巻くために停まった。
 
一時間ほど山道を揺られると、晴れて赤城山のふもとに到着だ。
 

 
ここでさっそく、問題が発生した。
 
「どこから進むんだ?」
 
バス停車場すぐ脇の「ビジターセンター」にて、十円で買った地図を確認する限り、確かに道があるはずなのだが、目の前には雪の壁が立ちふさがるばかり。迂回路を探すものの、そんなものはない。
 
ちなみに、雪の積もり具合はこのぐらいだ。
 
バス停

俺のリュックと道路標識

あっはっは、まさかここまでとは思わなかったな。群馬って北国なのか? 俺はまだグンマのことよく知らないんだよ。
 
しかし、こんなことでめげる私ではない。ここまでかかった交通費3,440円のためにも、今日はめいいっぱい赤城を満喫するつもりだ。
 
幸いすぐに案内看板も発見した。
 

 
先客の足跡も残っている。さあ行くぜ! いざ雪原を踏破!
 
 
 
・・・あの、歩くごとに雪の深みにはまるんですが・・・
 

 
いちおう先人の足跡の上を踏むように進めば、はまり具合はマシなものの、それでも四歩に一歩は「ずぼっ」と踏み抜く。なるほど、先人の足跡をたどってもダメな時はダメってことだな。
 
で、普通なら10分もかからない道を30分かけて歩く。
 

 
ところで、今回の旅には同行者がいる。しかもなんと女の子である。いつも「ぼっち」で行動しているような印象を受けられるかもしれないが、私にだって友だちの一人や二人はいる。
 

 
ちなみに、イラストだとこうね。
 

 
そう、赤城山と言えば赤城さんである。イラストとフィギュアの造形がこんなに違う子って、めずらしいよね!
 
「ねんどろいど」っていう、フィギュア好きには有名なシリーズの出身で、このシリーズは見ての通り二頭身のデフォルメでキャラを表現する製品だ。
 
ねんどろいどは流行りの作品をまんべんなく取り扱っていて、「艦これ」なら他に大和とか加賀とか金剛とかを商品化している。みんなカワイイゾ。
 
・・・なんかいろいろつっこむ声が聞こえてきそうだけど、とりあえずこのためだけにアマゾンで赤城を注文した俺の心意気は買って欲しいものだ。
 
で、雪原(本当は沼なのだが雪で埋もれて雪原になっている)の横に実はちゃんとあるアスファルトの道をてくてく歩くと、こうゆうところに着く。
 

 
「赤城神」ではない。「赤城神社」である。例によって雪で埋もれているのだ。
 

 
奉っているのは赤城大明神で、ご利益は心身健康・無病息災・病気平癒(いっぱいあるので略)。興味があるならホームページを見てくれ。ここで祈れば大抵の事は解決しそうだ。
 
ちなみにこの神社、「大沼」っていう、ワカサギ釣りができるカルデラ湖の上に立っている。春先の湖はこーんな感じ。
 

 
 
 
ではいよいよ、赤城山への登頂を開始だ。そびえる山容はこうだ。
 

 
うわー、もうこれぜったいしんどいやん。登りたくねえなあ。なにか理由をつけて帰ろっかなあ。
 
しかし、今日はこのために来たのである。一ヶ月前から準備して、日程を調整し、この日に備えた。すでに交通費だけじゃなく、食料代とか、赤城さん代とかもかかっている。あとには引けない。
 
それにふもとでのほほんとワカサギ釣りをしようにも、4月はすでにシーズンオフで漁協が許さないのだ。
 
さあ、いくぞ! 今くたびれた感じで降りてきているおっちゃんが通っているところが、雪に隠れた道だ!
 
 
 
さてさて、赤城山に登るといったが、「赤城山」という名前の山は存在しない
 
この名は古い時代の噴火でできたいくつかの山の総称である。
 
今回のルートは標高1,685メートルの駒ケ岳に登って、そこから最高峰の「黒檜山(くろびさん、1,828メートル)」を目指す。バスで標高1,300メートル地点にまでは来ているから、登る距離はせいぜい600メートルほど。普通なら、早歩きで一時間ちょっとのコースだな。
 
普通なら、な・・・
 

 
ぎゃあああ、また足を取られた。今度は深い。今まで膝丈だったのに、足の付け根まですっぽりと!
 
私はすかさずポケットから携帯を取り出し、シャッターを切る。「記念になると思ってな」。雪に包まれた足がどんどん冷えてくる。靴の中に雪が入り込む。しかし大丈夫だ。撮影、完了。
 
・・・あれ、抜けない・・・
 
なんか、ちょー踏んばっても抜けないんですけど。
 
必死に雪を掻き分ける。靴は見えたものの、それでも足は抜けない。木の枝が絶妙にはさまっている。押しても引いてもだめだ。やばい、靴の中の雪が溶けて外と内からのダブル冷却効果を発揮し始めた。
 
しかし知恵を働かせる。押しても引いてもダメなら、転がってみろ!
 
前にでんぐり返しするように転がると、きれいに「すぽっと」抜けた。オレ アタマ イイナ!
 
ただ斜面なので、そのままずるずると2.5メートルほど滑落した。ふりだしに戻る!
 
いや、道中はほんまにしんどかった・・・
 
とられる、はまる、すべる、ぐねる、ひっかかる、踏み外す、足に及ぶたいていの現象を体験したし、ここまでもりだくさんだと、当然痛めた。
 
道は、すっぽりはまりこむと思ったら、アイスバーンみたいになっていて滑り落ちるところもある。途中の急斜面に設けられた鎖型の手すりは、もちろん雪に埋まっており、ちょこんと突き出た柱の頭を乗って進む。
 
自分の装備がまたまずくて、基本的に秋用装備なのだ。上着はさすがに手持ちの中で一番いいのを着てきたが、靴は普通の軽登山靴だし、ズボンに至ってはユニクロのワゴンセールの綿パンだ。
 
「え・・・ アイゼン(靴につけるスパイク)つけてない」
「ストックもない」
 
すれ違ったハイカーたちがヒソヒソとつぶやく。
 
「この先、アイゼンないと厳しいと思うな」
 
手馴れた感じの親切なハイカーが、そう忠告をしてくれた。しかしすでに標高は1,600メートル。後には引けない。
 
あまりにも登りにくかったので、手頃な枝をおっ・・・げふんげふん! ちょうど運よく自分の身長にあった手頃な枝が落ちていたので、それをストック(登山用の杖)がわりに進む。

 
 
結局地図で「50分」と表示されている道を一時間以上かけて進み、やっと尾根筋に出る。尾根筋って言うのは、山のてっぺんが連なっている部分だな。
 

 
ちなみに山の反対側の風景がなかなか良かった。
 
ここまで来ると、アップダウンがそれほどないからだいぶラクになる。駒ケ岳はもうすぐだ。


 
さてさて、駒ケ岳は赤城山のナンバー2である。「クロノ・トリガー」で言うなら、ラヴォスの前のジールを倒した・・・ことになるのかなぁ。
 
とにかく、山はまだ続く。
 

 
なぜ赤城山に登るかって? そこに赤城さんがいるからだ!
 
(俺達の記事は次回に続く)


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