2015年6月29日月曜日

スフィアinソードワールド

 さて、前回から少し時間が空いたがさっそくnelico氏のシナリオを紹介しよう。
 時は徹夜明けの朝9時。各人が持ち込んだ食料もだいたい食べつくし、気だるい雰囲気の中、10時間前とまったく同じ笑みを絶やさないnelico氏のセッションが始まる。氏はまず、みかん、金魚顔(私)に20面ダイス! を振るよう指示した。
「それが、N値になります」
 何そのSAN値みたいなの、と心の中のつっこみもそこそこに、セッションは始まる。

 舞台は世界のいずこかにある「ニジネ地方」である。お祭り最中のこの地方は、「色と音楽」を地場産業にしており、青と赤を貴重にした屋台にはCDが並ぶ。また学校のサークルにも活動にも力を入れており、「絵描き歌サークル」や「ぶりっ子サークル」など、本当にここ「ソード・ワールドですか?」的な世界観が展開されている。PCたちは、旅の途中でこの地方にある「オトアメ村」に立ち寄った。
 PCを紹介しておこう。一人は毎度お馴染み、情緒不安定リルドラケンのマイラルで、今回は文盲という、冒険者としては致命的な欠陥が明らかになった。もう一人は人間のフェンサーであるリュー・ウォーターラインで、筆者がソード・ワールド2.0で初めて作ったキャラである。

 さて、二人とも学がなく、音楽を楽しむ趣味性もなかったものの、無事雑踏から依頼人(お金をくれるいい人)の少女マツを見つけ出す。今回の依頼は人探しである。
マツ「旧オトアメ村で行方不明になった、友だちのコットンとアッキーを見つけ出して欲しいの」
 旧村への立ち入りをしぶる村長をこぶしで説得し、早速旧オトアメ村にある旧オトアメ学園へ調査に向かう。学校の敷地に不法侵入し、閉じられたドアは基本的にぶっ壊し、でも二人ともセージ技能を持っていないので調査は一向にはかどらない。あからさまに怪しいサークル棟があったので、すみずみまで調査することに。
 怖い話、エスパー、妥協、メガネ、愚痴、催眠術、ぶりっ子などの各サークル部屋をいちいち調査し、黒板に描かれた謎のキーワード「アイテムは正しく使おう」「奈夢網だぶつ」「がんばりすぎるな」などを発見する。途中、ホワイトボードに描かれたロボットに襲われたり、エスパーサークルで拾ったひも付きのコインで自分で自分に催眠術をかけたりしたものの、特に問題なく一階、そして二階へと調査は進む。ぶりっ子サークルにてアッキーとコットンを見つけ出し、「幽霊の人形に追いかけられてここにこもってるの」と。冒険は人探しからモンスター退治に。
リュー「まずいな。ゴーストとかだったら物理攻撃が聞かないから、オレら逃げるかパン一で土下座するはめになるかもしれねえぞ」
 ちなみにリューは女の子である。

 そして愚痴サークルにおいて、くだんの幽霊の人形と思しき人体模型と骨格模型と遭遇する! 彼らは案外友好的で、驚愕の事実を明らかにする。
骨「ゴミ捨て場に捨てられた家電たちがいて、今回の騒動はだいたいそいつらのせい」
 マイラルがたまに起こす「わけのわからんことをしたがる発作」を起こし、みんなをつかんで窓から地上へと飛び降りる。まったく無意味に、1日60秒しか使えない「種族特性:風の翼」を使って無事地上に降り立ち、一路ゴミ捨て場へ。そこにいたのは――
 冷蔵庫、コタツ、椅子、座椅子、扇風機、運動会の玉入れのネット・・・
 PCもそれをあやつるプレイヤーも、同じように戸惑いつつ戦闘を開始する。先制判定→成功! しかし冷蔵庫が扉を開き、かぐわしい匂いを放出する。
 ここでN値の真相が明らかになる!

     N値=誘惑耐久値

 説明しよう! N値とは、魔力を貯めた家電たちが放つ、魅了的な精神攻撃への耐久値のことである! この抵抗に失敗したPCは、冷蔵庫のアイスクリームやふかふかのコタツ布団に心を奪われて、家電や家具への攻撃ができなくなるのである! ソード・ワールドのプレイ報告に、おまえは何言ってんだと思われるかもしれないが、筆者にもわけがry
 とにかく戦闘では、二人しかいないのが災いする。マイラルが冷蔵庫のハーゲンダッツに、リューがふかふかのシートに心を奪われて動けなく(ゲーム的には1ラウンド行動不可)なるし、たまに動けて攻撃できても、相手の数は多い。
 それでもなんとか親玉の冷蔵庫を倒し、戦闘終了→報酬ゲット→お疲れ様でした! となる。

 打ち明け話をすると、今回のシナリオ、nelico氏は声優グループ「スフィア」の番組の番組内ドラマから、設定を拝借したそうだ。
 普通、TRPGのシナリオを書くとき、だいたいは映画や小説、アニメ、ゲームから設定を借りるのだが、ネタ元が声優番組なのは前代未聞である(しかも初めて書くシナリオで・・・)。
 ちなみにシナリオの真相はこんな感じである。

『世の中全て敵』を標語にするオトアメ学園「新レスリングサークル」は、その標語に忠実に、ある日家電製品にレスリング勝負を挑むことになった。家電製品は当然、戦闘用には作られていないので一敗地にまみれ、ゴミ捨て場に不法投棄された。しかし、家電製品にも自負があったのだろう、この学園が放棄され、レスリング部がなくなった後も魔力を貯め、戦いに備えた。
 シナリオ中のコットンとアッキーが閉じ込められたのは、現役の学生にもう一度相手になってほしいという、家電製品たちの思いのためである。

 惜しかったのは、筆者たちが変則的なプレイ(村長を殴る、ドアそのものを壊して侵入する、二階から飛び降りるetc・・・)をしてしまったためイベントが飛び飛びになり、謎を解く面白みがそがれてしまったこと、またnelico氏自身も、人探しのクエストなのに「足跡追跡判定」の存在を失念していてシナリオに組み込めなかったこと、この二点だろう。

 ともかくも筆者たちは他では味わえない妙味と、声優ユニット「スフィア」の知識をちょっとだけ得て、セッションを終えたのであった。

 次回のシナリオは8、9月に予定しております。お楽しみに。

2015年6月19日金曜日

シナリオ1

2015/06/09開催分のシナリオを公開します。
下記リンクを踏んでもらえれば、OneDriveへ飛びますので、そのままダウンロードしてください。
passwordなどは特にかけていませんので、ご自由にどうぞ。
但し、非商用のみでのご利用のみ、可能とします。

http://1drv.ms/1BnesYT

2015年6月17日水曜日

みんなも、身の丈にあったシナリオを書こうね

・2015/06/9のセッション

 さて、先週の話である。
 時刻は夜の11時過ぎ。我々にはやるべきセッションが二つあった。
 一つはnelico氏が初めて書き下ろしたシナリオで、もう一つは私こと金魚顔が約3日で書いたシナリオだ。
 あいにくメンバーの一人が体調不良で不参加なため、この場にはみかん氏含めて三人しかいない。一人はGM(ゲームマスター)役だから、プレイヤーは二人だけだ。
「(もう一人が体調回復して途中参加すること前提で)プレイヤー二人でなんとかなるゲームバランスのシナリオって、どっちです? そっちから先にやりましょう」
 みかん氏がたずねる。
 どちらも首をふった。
 結局、私のシナリオから先にやることになった。長丁場が予想されるシナリオで、体力があるうちにやってしまおうという作戦だ。
 私は両名にキャラをもう一人作ってくれるよう頼んだ。一人二役、計四人パーティーなら、プレイに支障のないシナリオだったからだ。
 これが悲劇の始まりであった。

 私のシナリオは、ソードワールド2.0ではお馴染みのルキスラ帝国が敵役の物語である。PCたちはルキスラに攻められている新興国に傭兵として参加しており、ひょんなことから「概念鎧(がいねんがい)」と呼ばれるロボットにのる。ロボットはPCの普段のデータの×10倍の性能(防御力だけはMPの2倍)を誇っており、普段は倒せないような高レベル蛮族や多数の敵を無双してゆく、戦闘に戦略シミュレーションみたいなコマとヘクスマップをとりいれた、GMの処理的な意味で危ないシナリオである。
 しかし問題は、シナリオだけではなかった。PCのキャラの濃さである。

 nelico氏の二人のキャラは、もうまったく問題がなかった。人間の拳闘士&グラスランナーのシューターで、二人とも氏の誠実で謙虚な人柄を反映した、GMの慈雨みたいなキャラである。
 みかんのキャラは凶悪であった。
 一人は前回のシナリオから続投のリルドラケンのマイラルで、新たに夫と子どもを殺されてその肉を知らずに食べさせられた設定が明るみになり、どこのギリシア悲劇からお越しで? なキャラにアップデートされた。
 もう一人はラルバ(ヴァンパイアに似た種族)のキールで、守銭奴で借金持ちの180歳の女(しかも冒険者LV5の低性能)というひねくれる材料しか見つからない、事実ねじまがった性格を持つ中年である。

 それでも物語の最初は、筆者があからさまに立てたフラグを四つほどへし折られる以外、つつがなく進行した。
 おかしくなってきたのは、「めんどくさい」との理由で、シナリオ上重要なルキスラと新興国のあいだの戦争原因の説明をすっ飛ばしたところからだろうか。
「困ったちゃん」キールは制作したPC自身の手で敵中に置き去りにされ、「戦闘での操作が大変」ということでnelico氏の二人のキャラが一つのロボットに乗る。どちらも戦力が減って、勝って欲しい戦闘で勝ちにくくなるので、GM的にやってほしくないことである。
「敵に特攻する!」と息巻く青年をヘクス戦闘で死なせないようにするイベントでは、「足を折る」という創意工夫の裏技で彼をヘクス戦闘自体に参加できなくさせるし、ヒロインとして設定したウィンディちゃん(マイラルと共に前回のシナリオから続投)は完全に空気キャラと化す。
 ヘクス戦闘にも大いに問題があって、これはテストプレイを怠った筆者に責任があるのだが、基本ステータスの×10倍の能力だと回避率が高くなりすぎて命中判定と回避判定がまったくのいらない子になるうえ、ゲームの自由度を高める目的で作ったロボ専用の防具を全部つけるとダメージが7~8点しか通らなくなってしまい(PCのHPが400前後もあるのに!)、昔のファミコンゲームみたいにちまちまとダメージを与えるだけの戦闘になる。

 それでもなんとか最終決戦にこぎつける。「マナ爆弾」と筆者が名付けた一種の戦略兵器を食い止める、予定では一番の盛り上がり場面である。回避率自体は「×10倍」から「×5倍」に下方修正することでなんとかなったものの、根本的なゲームバランスの修正にはいたらず、防具をしっかり着込んだnelico氏はガン無視でみかん氏のPCばかりを狙う戦闘に。しかもルキスラ皇帝に買収されて敵に成り下がったみかん氏制作のキール(もちろん概念鎧装着)を、筆者が動かすという変則プレイ。
 ラルヴァという種族はもともとの筋力がやたら高く、ダメージ量も半端ない。しっかり防具を着込めば防げるものの、みかん氏のマイラルは防具よりも武器を優先し、大砲を三つも持つ「男のロマン」を追及していたため、装甲が紙であった。
 お助け役のNPCの一人に新兵器を持たせて無事届けさせるものの、次のキールの攻撃でそのNPCが死亡し、しかもせっかくの新兵器を使う前にマナ爆弾が積まれたパンジャンドラム(ミリタリー好きな人はググるといい。きっと笑える)が撃破されるカオスな自体に。
 とにかく中に封入されていたマナ爆弾をゲットしたものの、ここからは筆者とみかんの暗闘が始まる。
 それはマイラルを死なせて悲劇のキャラに仕立て上げたいらしいみかん氏と、マイラルを気に入っているので今後のシナリオでも登場して欲しい筆者との、文字通り生死をかけたシナリオのオチの持っていき方である。
 筆者としては「マナ爆弾の捕獲」→「それを自軍に使われることをおそれたルキスラが休戦を申し込む」というシナリオの流れだったのだが、敗れるやPCたちの手元に返り咲いた拝金主義者のキールが爆弾を競りにかけ始めたため、収拾がつかなくなる。しかもほの暗い経歴から死にたがっているマイラルが、概念鎧にのったまま爆弾ごと海中に沈んで封印するという話に志願して、すったもんだのあげくそんな風になったのだが、「やっぱり後味が悪いよね」ということでアニメ版エクセルサーガ風の「大宇宙の意志」が働き、最終決戦を中ほどからやり直すことに。
 二回目の最終決戦もつつがなく勝利し、二回目ということでマナ爆弾を取り出すときに反応するトラップにもひっかからない。この時はマイラルも死なず、隣の国にある地中深いダンジョンに隠すというオチになったのだが、そもそもその国が核爆弾並みの兵器を自国の地中に埋めさせるのはおかしいという疑問が出て、「やっぱり最初のオチにしようか」と話し合ったところでいよいよ時刻は朝の九時になり、そのままPC、GM共に力尽きたのだった。

 このセッションをまとめると、参加人数が足らず一人二役をやってみたもののグズついて結局ダメで、しかも新たに作られたキールというキャラがいろいろやらかしたあげく、筆者が前々から温めていたヘクス戦闘も不都合が多い上、主要PCの死亡と非死亡、二つのエンディングが出来上がり、クロノトリガー(リメイク版)のごとく「エンディングの数だけパラレルワールドがある」みたいなオチに落ち着いて、結局次回のセッションどうしよう、と頭の痛い結果になった。

 次は単純なセッション、あるいはちゃんとプロが作ったセッションをやるぞ、うん。

 さて、我々には紹介すべきセッションがもう一つある。nelico氏制作のセッションである。それはまた次回に。

2015年6月2日火曜日

次回予告

 どうも。銀閣寺から戻って来たばかりの金魚顔だ。
 来週6月9日の夜から徹夜でセッションをやることになった。場所はみかん氏の家で、例によってソードワールド2.0だが、nelico氏初めてのシナリオがお目見えする。
「ARIA」と「ひだまりスケッチ」をこよなく愛する氏の、ペルソナ2ばりのインテリ戦闘システムとはいかに? 続報を待て!