2016年7月29日金曜日

ポケモンGOはじめました――ファーストコンタクト

  

 私はクラウドワークスというところに登録して、ささやかなライター業をしている。まあ、趣味の域を出ない小遣い稼ぎだ。

 そのクラウドワークスで最近、「ポケモンGO」関係の仕事の案内が爆発的に増えた。
 本当に増えた。

 とゆうわけで、私もやってみることにした。

 東京、秋葉原、とあるマクドナルド。
 フリーWi-Fiの飛んでいるこの場所が、ポケモンGO起動の地となった。
 フェイスブックのアカウントでログインできるのでそうして(まったくフェイスブックはこうゆう時にしか使わないな!)、それから基本情報の登録にかかる。
 生年月日、性別などの個人情報。そしてプレイヤーの分身となるキャラの性別、服、髪、肌の色などだ。
 そしていよいよ、ポケモンGOが始まる。
 へんなおっちゃんが出てきた。

  

 なんでもポケモンの研究をしているので、世界中のポケモンを捕獲し情報を教えて欲しいとのこと。なんだ、オーキド博士の変種か。

 それから唐突に、画面が切り替わる。
 携帯のGPS機能を利用し、現実のマップを再現したポケモンGOのフィールドに、突如プレイヤーキャラが放り出される。
 そして三方向から、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメが殺到する!

「囲まれた!? まさかミックスデルタを仕掛けてくるつもりか!?」

 無我夢中にフシギダネのグラフィックにタッチすると、携帯でカメラ機能を使うときのようなリアルを映した表示になり、そこに正面を向いたフシギダネがあらわれる。

 マクドナルドの机の上に、フシギダネが座っている。

 3DCGと言えばいいのか、とにかくフシギダネがこちらを見ている。

「何なのだ、これは! どうすればいいのだ?!」

 こう見えても私は、初代ポケモンが発売されたときに小学生だった、いわゆるポケモン世代。これがサファリパークのような状況だとすぐに直感した。

 ええと、石かエサを投げればいいんだよな。でも持ち物で石の代わりになりそうなものはヴァイスシュバルツが入ったデッキケースしかないし、こいつ、食べかけのチーズバーガー食うかな?

 とにかく外に出る。人のいないところで集中したかった。
 もちろん移動中は、スマホからは目を離さない。だって、フシギダネが逃げてしまうかもしれないじゃないですか。
 ああなるほどと納得する。こりゃ、事故が流行るわけだ

 秋葉原の路上に、あいもかわらずフシギダネが鎮座している。

「落ち着くんだ、いるかもしれないもう一人のぼく。これはチュートリアルだ。スマートに行こうぜ、わっしょい!」

 そのとき一応義務教育は受けている俺にひらめきが。
 画面の下のほうに、モンスターボールがあるのだ。

「この力を使えというのだな! さすが俺様、なんという冷静で的確な判断力なんだ!!」

 モンスターボールに「みだれづき」する。
――あの、いくら指でつついても、反応しないんですが・・・

 頭の中ではケンタウロスに何度も遭遇して、そのたびに逃げられた思い出が再生されている。
 もたもたしていると、画面のポケモンが逃げてしまう!

 このときメールの着信も入る。何かに集中しているときに届く、私が嫌いなタイプのメールだ。

 就活で応募していた企業からの面接の案内だろうか? それとも派遣会社からの仕事の要請かもしれない。

 でも今は、そんなことどうでもいいんだ。

 フシギダネは、かつて私が初めてもらったポケモンであった。
 ほぼ二十年後、新たにポケモンを始めるに当たって、彼以外に初めてのポケモンはありえない。
 それに見よ! 彼だって仲間にしてほしそうにこちらを見ているではないか!

 四回ほどみだれづきして、指でつつつとスワイプしてフシギダネにぶつけなければいけないことに気づく。

 ぱかん、とモンスターボールが開く。フシギダネが取り込まれる。
 お馴染みのぐ、ぐ、とボールが揺れる動作。

「うむ・・・」

 図鑑にちゃんと、フシギダネが記載された。

 ※ ※ ※

 さて、プレイ日記風の今回の記事、ちゃんとオチがついている。

 例のメールである。一仕事終えた満足感と、作業をささやかに邪魔された不機嫌さで、確認する。
 シンプルなショートメールだ。

「通信速度を低速にしました」

 見るとマックの看板から、だいぶ離れてしまっている。
 しまった! マックの(Wi-Fiの)庇護を離れてしまったばっかりに、一ヶ月の通信量をオーバーしたか!

 このように、GPS及び3Dモデリングはデータ用量を喰う。


 用法用量を守って、正しくお使いくださいってことだな。

  




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