2016年7月12日火曜日

不思議な話 その2

 今日のことだ。
 
 私は朝からパソコンで、就職活動用の履歴書を仕上げていた。
 夕方から面接があるのだ。
 他に用事のない日は、かなりダラダラと作業する。
 昼飯をはさみ、1時51分過ぎに作業を終えた。あとは印刷するだけだ。
 ところがなぜか、2時までプリントアウトを待ってみようと思ったのだ。
 ブログの他の記事のファイルを開いて、5分ほど作業し、あとは2時になるまで時計を睨んで過ごした。
 2時1分になるかならないかの時間で、印刷を指示するショートカットキーを押した。
 
 時計の針の位置が、いちいち印象に残っている。
 
 自宅最寄り駅の私鉄には、特急で数えて一本乗り遅れた。
 
 その後は無事、JR山手線の日暮里(にっぽり)駅まで出た。目的地は同じ山手線の目黒駅だ。
 当初構内の本屋に寄るつもりだったが、予定より遅れているのでまっすぐ目的のホームへ。
 調度電車が止まっていたので、これ幸いと乗り込んだ。
 ところがいつまで立っても発車しない。
 乗客のざわめきの中、車内アナウンスが聞こえてくる。
「京浜東北線ーー御徒町(おかちまち)ーー人身事故・・・」
 なぜ京浜東北線の事故で山手線が止まるのだ?
 その時はそういぶかしんだ。
 やがてアナウンスが、二つ先の上野駅まで列車を進めると伝える。そこで回送になると付け加えた。
 
 電車はノロノロと出発する。
 
 上野駅に着く直前、山手線の安全が確認されたのでこのまま走りつづけるとアナウンス。当たり前だ、違う路線の事故なのだ。
 今一度の安全確認のため、再度停車したものの、列車は無事に上野駅に到着した。
 列車が出たとき、驚きのアナウンスが流れた。
「次は御徒町、御徒町ーー」
 電車が御徒町に進入する。
 そして進行方向に向かって右、すぐ隣の線路に、先頭に駅員がたむろして、黄色いテープに囲われた、全く人の乗っていない薄暗い電車が見えた。
 山手線と京浜東北線が隣り合っているのを、この時初めて気がついた。
 
 ※ ※ ※
 
 あとで、調べてみると、自分が本来乗るはずだった電車が、御徒町付近で事故車両とすれ違う予定だった。
 自殺者は、助からなかったようだ。
 なぜか乗る電車を遅らせて、事故の現場を避ける体験は、これで4回目になる。
 あるいは東京は事故が多いから、単なる偶然かもしれない。
 目黒駅からの帰りの電車は、帰宅ラッシュのはずなのにかなり空いていた。普通に座れたほどだ。
 
 そして御徒町駅で降りた。
 
 事故の痕跡は何もない。ただ秋葉原の外苑にあたる都市の光がまぶしい。
 ホームの写真を撮る。
 間もなくいつもより5分遅れで、事故車両と同じ京浜東北線大宮行きが進入してきた。
 
 

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