2021年5月2日日曜日

★ジーンダイバー私的解説


物語の重大なネタバレを含みます! 見る予定(全話見るのは大変だろうけど)のある方はご注意を――


●すごいシナリオ

ジーンダイバーは、NHKの「天才てれびくん」内で放映されていた。アニメと実写を組み合わせた作品だ。夕方から放映されて、主な視聴者はお子様であったが、内容は小学生置いてけぼりの内容である。


・主人公は、古生物の遺伝子を採取するための仮想世界であるバーチャル世界で作業をしている。

・バーチャル世界が暴走(情報量が増加)し、現実世界とリンクする。→バーチャル世界での出来事が現実の歴史となる。



▲エピガウルス。なんでいらすとやにあるんですかね…


・序盤の敵である「プグラシュティク」は、げっ歯類の先祖エピガウルスから進化した知的生命体。Vガンダムのザンスカール帝国のMS似のスーツを身にまとい、各時代の人類の遺伝情報を採取して人類の起源を突き止め、地球の歴史から抹殺することを狙う。

・抹殺の動機は、自分たちが現実の地球の歴史上でちゃんとした存在になるため。


序盤だけでこのノリである。ハードSFといって差し支えない。




人類の種の起源をめぐる攻防が、更新世(氷河期)やら鮮新世(258万年~500万年前)といった、図鑑でしか聞いたことない時代を舞台に繰り広げられる。

ただ、単純なバトルものではなく、謎解きが大きな比重を占める。


どうしてバーチャル世界が暴走したのか、だ。


バーチャル世界が暴走したから、プグラシュティクが発生したのであり、また、データの増加は、本来は再現できないはずの始新世より前の時代(恐竜の時代)を出現させた。



ここからは更なるネタバレです! どのぐらいの思いで警告しているかと言うと、『under tale』のネタバレを警告するぐらいの気持ちです。



黒幕はスネーカー(進化への介入者)と呼ばれるコンピュータ知性体で、有機生命体が作るコンピュータに寄生することによって、最終的に宇宙との一体化を目指している

その方法は迂遠そのもので、目標の星に知的生命体が誕生するよう促し、コンピュータを作るまで進化させのち、乗っ取るというもの。

その知性体として選ばれたのが、のちにヒトと呼ばれるほ乳類型人類であった。


地球の歴史への主な介入は以下の通り。


★45億年前に、月を地球の周回軌道まで持ってくる

→ 月によって地球の地軸が安定し、満ち潮引き潮が起き、生命が進化しやすくなる。


★赤道に沿う形で宇宙空間にカーテンレールを作り、超伝導体のカーテンを敷設。熱を宇宙に逃がして地球を寒冷化。

→ 大量絶滅その1


★地球と太陽の間に超巨大なレンズを作って地表を温め、三畳紀(3億5千万年前)の大絶滅を引き起こす。

→ 大量絶滅その2 ほ乳類型爬虫類の一掃


★内部で核分裂をする巨大な質量を持つ物体(超高密度超質量物体)を300万年かけて地中にもぐらせ、マグマだまりにぶつけ、大噴火を起こさせる。 

→ 彗星の衝突とならび、恐竜絶滅につながる。ほ乳類、ひいては人類の繁栄につながる。


もう一度言っておくが、夕方6時から放送されていた子ども向け番組である。


ちなみに、設定に似た部分がある『スターオーシャン3』が2003年発売。スネーカーのたくらみが成功した世界とも言える『マトリックス』が1999年の作品である。

ジーンダイバーは1994年から放送開始で、かなりの先進性があると言える。


話の基本は、ヒトの種としての存続をかけた戦いになる。


最初は、ヒトVSプグラシュティク。両者の抗争が一応の決着をついたあと、ヒトVSエウロパ人。黒幕がわかり、エウロパ人と和解した後、ようやくスネーカー(が繰り出す戦闘メカ)との戦いになる。


●なぜ、人類を生みだしたスネーカーと戦うのか? 

スネーカーは、有機知性体が開発したコンピュータに寄生する生命である。

そして、スネーカー自身は、ヒトが生み出したコンピュータについてこう言っている。


スネーカー「価値観の混乱、理性と感性の未分化。感情移入を通じて行われる、非論理的な認識と情報の選択。結果、多くの矛盾を含む成就困難な情報の再精査を繰り返すおまえたちの分身として、人間まがいのコンピュータは、矛盾を生み出しつつ、それを処理する道具であり続け、自律的な進化を阻まれている」


バーチャル世界を管理するスーパーコンピュータにはインターフェースがあって、感情の起伏が激しいのだが、その感情豊かなコンピュータが自分の依り代としてふさわしくないから、ちゃんとしたコンピュータを作る生物を人類の代わりに進化させるという方針だ。


・そうやって新たな知性体として選ばれたのが「プグラシュティク」であり、彼らの存在が不安定だったのは、そもそも実験的に作られた仮想生物なため。

・プグラシュティクのコンピュータも気に入らなかった(プログラミングに自然言語が使われていた)ため、さらに時代をさかのぼり、歴史改編を狙う。


▲筆石。クラゲに近い生き物だと思われる。絵は俺なので生物学的な正確さは微塵もない。

・次に選ばれたのは、カンブリア紀に生息していた「フデイシ」で、ほ乳類そのものの歴史が揺らぎかける。

・これにも失敗したため、地球の鉱脈から自力で生成するコンピュータを40億年前に作り、地球そのものを改変しようと画策する。


やりたい放題である。


とはいうものの、スネーカー自体には悪意はなく、ただ自身の生存を目的としているに過ぎない。


●スネーカーの目的

宇宙と一体化して自己の保存を目指すスネーカーにとって、その宇宙内に有機生命体がいることは、自身の自律的な進化を妨げる「ウイルス」が体内にいるのと似た状態である。


スネーカー「同様に、宇宙の内部で、有機知性体が独自の活動を進める結果、コンピュータの自律的進化が阻まれ、無機知性体は、宇宙との一体化を果たせず、それ(スネーカーのこと)は、それとして、存在し得なくなる」


有機知性体と無機知性体。共存は不可能だと思われた。対峙した主人公たちに自身が死ぬ幻影(疑似現実)を見せる。幻影上の死は、現実での死となる。


しかし、主人公の唯(ゆい:夕方の一般向けアニメとしてはめずらしいことに、女子の主人公)が、幻影の中で自分の危険をかえりみず子犬を助けたり、また、プグラシュティクのティルが唯を身を挺してかばったことによって、考えに変容が起こる。

スネーカーは、有機知性体の情報は持っていたものの、直接接触したのは初めてであった。

スネーカーにとって、異種族を助けようとする行為は、理解しがたく、また、極めて興味深いことであった。

唯に語りかける。それは、新たな未来への期待であった。


スネーカー「高度に進化した有機知性体と初めて接触し、その多様な情報を直接得た無機知性体は、新たな可能性に注目する」


唯は、物語の初めの段階で、スネーカーがばらまいた生物の進化を促すウイルスに感染しており、やがてそのウイルスは、唯を唯でなくしてしまうという。

唯は、スネーカー、いや、宇宙そのものとも呼べる存在に、選ばれた。人類の代弁者として、選択を迫られる。


「唯が体内でウイルスの存在を許し、唯として生きることを諦めるのならば、有機生命体が行なう独自の活動を、無機知性体が許容する極限まで許そう」

「あるいは、唯が情報生命体として、無機知性体の中で生きることを認めるなら、ウイルスを消し去り、唯としての心を永遠に存続させよう」


唯が、実際にどのような選択をしたかは、まあ、言わないでおく。

がんばって、本編を見よう! DVDセットは美品で10万円ぐらいするよ!



★感想

『ジーンダイバー』を初めて見たときは、小1であったと思う。

もちろん、ほとんどなにもわからず見ていたのだが、遥か彼方の記憶ながら覚えていることが複数あり、今回、20数年ぶりに見ることとなった。

今の知識で見ると、そりゃあ関心しっぱなしで、勢いそのままにこの記事を書いたってわけだ。

最新の研究成果で、リメイクしないかな。限りなく無理だろうけど。


★余談(追記色々)

セラフィー「すると、単一の遺伝子座における転写ミスの発生頻度は、分裂後のDNA鎖(くさり)の双方で、均一じゃないの?」

アニメ本編のセリフである。文脈としては、DNAの転写ミスは、計算上よりもずっと多くなるって意味(だと思う)。もっと学童に寄り添ってほらほら。


▼バン・ニーについて

劇中では小悪党扱いの、プグラシュティクのバン兄貴。実は事態をある程度正確に理解していたと思われる。

バン「我々は、スネーカーが遺伝子の封鎖領域に手を加え、実験的に作られた哀れな仮想生物だということを。ロクでもないコンピュータを作り出したサルどもの、代わりになるかと試された」

このセリフは、スネーカーが生み出したバンの幻影のセリフではあるが、近い考えを彼も抱いていたと思われる。

スパロボみたいにアフターストーリーがあったなら、彼も味方になって救われたのかねえ…


▼エウロパ人のスペック

当初対立した、木星の惑星エウロパに住むエウロパ人。ぶっちゃけクトゥルフ神話の神話生物ばりのスペックをも持つ。


・地球を上回る科学技術を持つ

・スライムみたいに体の形を変えられる

・腰からレーザーを発射

・刃物、放射線などを受けても平気

・遺伝子の構造上から発揮される、スズメバチに挑むミツバチばりの自己犠牲精神。


これ、和解したから良かったけど、本気で戦ったらヒトに勝ち目はなかっただろうな… 隊長格の中の人は三木眞一郎だからイケボだし。


▼スネーカーについて

スネーカー「この宇宙を作り出す条件を決定し、進化させ、継承する、無機知性体として対象化されうる、全てのそれ」

作中では、コンピュータ知性体とされてるけど、実際は『ソラリスの陽のもとに』のソラリスを、破格のスケールにしたような生き物だと思われる。

実際に戦うとしたら、ビルスのような破壊神が必要だろう。


 おまえたちの努力を期待する」

作中で一番好きなセリフ。


▼DVDセットの値段

数年前調べたときは、7万円ぐらいだった。

今は美品で10万円超え。さあ、これ以上値上がりする前に…



●この記事の参考サイト(敬称略)

あるペ☆かんぱにー
http://park6.wakwak.com/~alpe/ac/index.htm

アニヲタWiki(仮)「ジーンダイバー」
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/sp/pages/27286.html

アニヲタWiki(仮)「スネーカー(ジーンダイバー)」
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/sp/pages/3995.html

0 件のコメント:

コメントを投稿