2017年8月14日月曜日

岩手の伝説の剣を求めて


 突然だけど、難読地名のクイズだ。
 
 これ、なんて読む?

 
 早池峰山



  答えは・・・ 「はやちねさん」だ。
 
 


   
 この辺りは、蝦夷が支配していた太古の地名が、色濃く残っている。「はやちね」とは「東の陸の足」の意味だと言う説がある。
 
 今回「早池峰山」に登るのは、たまたま今住んでいるところから近い、との理由だけではない。
 
 なんでも、頂上に「剣」が奉納されているのだそうだ。
 
 ほほう。剣とな。
 
 風紀紊乱の昨今、ちょうど護身用の何か欲しいと思っていたところだ。このような霊峰にある剣なら、さぞや攻撃力が高いことだろう。
 
 とゆうわけで、8月11日の「山の日」。伝説の護身具を求めて、俺の冒険がはじまる・・・
 
 
 
 宮古市、遠野市、花巻市の三つにまたがり、そのどの中心部からも遠い位置に、早池峰山はある。地元民じゃない人にもっとわかりやすく説明すると、盛岡市のほぼ真東にあり、軽巡洋艦「北上」の名の由来になった北上川の源流の一つがある。
 
 
 ふもとでしっかりとトイレを済まし、登山口(河原坊登山口)で俺の名前を書く。遭難する危険性のあるけわしい山では、名前と緊急連絡先を書くのがルールだ。
 
 もし俺が剣を手にし、伝説の勇者になったあかつきには、このサイン入り台帳が高値で取り引きされるようになるにちがいない。
 
 

「クマに注意」の看板が乱立している森を進む。ふふ、おもしろい。帰りに剣の試し切りの素材にしてやろう。今夜はクマ鍋だ! 今はビクトリノックスの十得ナイフしか持っていないから戦闘は無理だが。
 
 クマとエンカウントすることなく(ふう~、よかった)森を抜けると、いよいよ山本体が姿を表す。
 

 
 すごく・・・ 大きいです・・・
 
 え~、マジかよ頂上見えねえじゃん、標高1917メートルって聞いてたから高いのはわかってたけど、借り物のスズキアルト(通称ガムテープ号)で結構高度稼いだじゃん。やだもうこの山。
 
 しかし、あきらめるわけにはいかない。ここまで2時間40分かけた燃料代が無駄になる。
 

 
 早池峰山は、古い山だ。
 
 大昔の、シルル紀とかデボン紀(恐竜より前の時代)の地層が盛り上がって出来た山で、専門的には「蛇紋岩地層」と呼ばれている。関西なら、滋賀県の伊吹山が、この地形になる。
 

 
 こうゆうところには、他では見られない特殊な植物が生える。植物マニアが好み、しばしば高値で取り引きされるため、地面から根ごとほじくり出されて持ち去られる。
 


 
 さて、ロープワークをこなし・・・
 


 
 はしごを登ると・・・
 
 

 
 山の上の高原に出る。この辺りになると、腰の高さぐらいしかない背の低い松が目立つようになる。冬に雪が降ると、背の高い松だと重さでぼっきり折れてお陀仏なわけだ。
 
 ここで、ちょっとした誤算が起こっていた。
 
 道が、あんまり、しんどくない・・・
 
 

 
 山道がいかにしんどかったか、面白おかしく書こうと思っていたのに、案外登りやすい道でちょっと残念だ。いや、ラクなの大好きなんだけど。
 
 
 
いよいよ、頂上だ。すぐの目当てのものは見えた。

 


 
 おおおおおお、剣だ、剣があるぞ! それもいっぱい。うわさは本当だったんだ!
 
 しかーし、俺はタダの剣には興味ない。異世界剣、超能力剣、宇宙剣――ごめんなんでもない。
 

 
 私のほしいものはこれだー!
 
 他の剣より大振りで、保存状態もいい。どことなくドラクエⅥの「ラミアスの剣」に似ているところもグットだ。
 
 ちょっと刺さる方向が間違っている気がするけど、いざ押してまいる!
 


 
 ふん、ふん、ふんもっふ! ダメだ、びくともしない。
 
 俺は伝説の勇者ではないのか? リンクにはなれないのか?それとも、俺の子どもなら抜けるとかいうフラグか?
 
 だが、この程度であきらめる俺ではない。俺はさはど物に執着する男ではないが、伝説の剣となれば話は別だ。殺してでも奪いとる!
 
こんなこともあろうかと、ちゃんと秘密道具を持ってきた。ドラえもんも持っていないであろう、今週のびっくりドッキリアイテムだ。
 


 
抗刃手袋だ。自衛隊の駐屯地の売店で買ってきた。
 
 この伝説の剣、俺は一目見て切れ味よりも叩いて打撃を与えるタイプの武器だと見抜いたが、ちょっとしたエッジはついているので、黄金の左腕及び普通の右腕の保護は必要だ。
 
 

 
 さあ、伝説の剣よ、二度目はあると思うなよ・・・ 耐えられるかな? 俺の力に!
 
 くう、くう、くう! くう~疲れた。
 
 ダメだ・・・ びくともしない・・・
 
 俺は頭を垂れた。敗北を自覚した、わきまえた行動だと我ながら思う。
 
「国鉄盛岡工場」と銘が打たれた剣は、静かに俺を見下ろしていた・・・

 
 

 
 よし、飯にしよう!
 
 さて、俺が伝説の勇者ではないと判明したところで、今回はここまでだ。頂上の風景の一枚や二枚でも上げたいところだが、霧が深すぎて視界がゼロだった。残念!






 まあ、急勾配なせいで行きより帰りも方がタイヘンだっただけど、画像だけのせて割愛するよ。
 
あ、あと、最後に一言。

仮に早池峰山の頂上に行っても、剣は抜いちゃだめだぞ。あれ、神域への奉納物だから!




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