2018年2月5日月曜日

ネオエクスデスを求めて 20年ぶりのFFV その6(ネオエクスデス 素手)



ネオエクスデスに会うにあたって、私の屈辱の歴史について語らなければならないだろう。
 
 
私の母親はゲームをする人間だったのだが、FFVの主人公に、あろうことか私の名前をつけていた。
 
画面内の私が殴ったり殴られたりするのを、幼い私は妙な感じで眺めていたのだが、ある日迎えたネオエクスデス戦で、悲劇が訪れた。
 
相手のホーリーで、主人公が倒されてしまったのだ。
 
しかもなお悪いことに、次の味方の攻撃でネオエクスデスも倒され、そのままエンディングへと突入した。仕様によって、私の名前のついたバッツはそのまま「無」の空間へと取り残され、幼い私は深い悲しみに包まれた
 
「全員同時生還END」を目指した幼き私の意図も「最後のセーブポイント」で頓挫し、ずっともやもやを抱えたまま、少年期、そして青年期を迎えた・・・
 
 

挫折から20年後。
 
今、自分至上未踏の地に立っている。
 

 
 
それにしても、最後のセーブポイントからエクスデスまで、20秒ぐらい歩けば普通につけたんだな。これなら、幼き日に最後までやりきってもよかったな。
 
 
 
さて、ネオエクスデスとまみえるにあたって、どのような格好で向かえばいいのか?

この問題を、私はずっと考えていた。

つまり、どのジョブとアビリティを着用しどのような装備で戦うかという問題だ。

伝説の十二の武器を選ぶとき、私はまっさきに、「エクスカリバー」を選択した。
 
FFVをやりなれた者にとって、エクスカリバーは必ずしも最良の選択ではないかもしれない。
 
が、それでも「でんせつのけん=さいきょう」という幼き日の想いを汲んで、今回もこの剣を手に取ったのだった。
 
いまや「しんりゅう」を倒したことにより、上位兌換の「ラグナロク」も手元にある。
 
この二振りの剣を「にとうりゅう」し、「みだれうち」を組み合わせれば、一回のコマンド入力でおそらく10000近いダメージをたたきだせるだろう。
 
聞くところによると、4分割パーツで構成されたネオエクスデスそれぞれのHPが50000~60000。まちがいなく、勝負は短期で決まる。
 

だが、ちょっと待って欲しい。
 

そもそも「にとうりゅう」+「みだれうち」の組み合わせ自体、ネットからの情報だ。つまり、他人の知識に過ぎない。
 
このFFVをはじめるとき、私はこう誓ったはずではなかったか? すなわち、自分なりのプレイを貫く

ネット利用というのは、いわばカンニングだ。しかも、誰にもとがめられることのないカンニングだ。
 
とがめられないからといって、おめおめと用意された答えを利用してもいいのだろうか?
 
「過去の未完を果たす」というのは、何も道半ばの道を完遂するだけではないはずだ。
 
 

 
 
ライバルであったギルガメッシュは、「かっこわるいまま れきしに」名を残したくないと言って、散っていった。
 
そう。そうなのだ。
 
私が思春期の20年間、このFFVを気にかけ続けたように、これをクリアしたのちの20年間、ずっと誇りを抱いて突き進める。そんな劇的なクリアを演じなければならない。
 
すなわち・・・
 
自分の記憶に、強者としての自分を刻み付けることだ!
 
さて、強者とはなんであろう。
 
ここで最初の、どのようなアビリティどのような武器で戦うかの話に戻る。
 
強者とは、武器を使わず、裸一貫で立ち向かうもののことである!!!
 

 
 
ジョブは「すっぴん」でいく。これは、FFVをやりなれたものにとっては予想の範疇だろう。
 
しかし武器は使わない。「すで」のみだ。防具もつけない。ただし「エルメスのくつ」は履く。
 
すっぴんはだかで靴だけ履いてるって、なんかエロくね?
 


 水平に写真を撮っているつもりでもナナメる、俺の撮影クオリティー

 
 
もちろん、他のメンバーもみんなこれで行ってもらう。
 
アビリティは、レナは「しろまほう」と「れんぞくま」で回復に専念。
 
レナ以外三人に「みだれうち」。「すで」のデフォルト仕様で、連続8回殴ることができる。
 
 



20年の時を超え、勝負だ ネオエクスデス!
 
 



???????あれ・・・

あれ・・・ 昔見たネオエクスデスのグラフィックと違うくね・・・
 
ネオエクスデスって、ぶちまけた内蔵みたいな姿だったような・・・
 
あ! そっか、第一形態か
 
そうとわかっても、俺のやることはかわらない。こぶしとこぶしで語り合うだけだ。
 
さあ、そのデクの樹さまから、ネオエクスデス本体を引きずり出してやるぜ!
  





お、おおお。エクスデスが消えていくぞ!
 
 
・・・・・・なにか来る! まがまがしい気配が!
 



会いたかった! きみに会いたかった!
 
 
 グラフィックを主人公にかぶせにかかってくるラスボスの鑑


さあ、こぶしとこぶしで語ろうではないか(二回目)!!!
 




ぎゃー目つぶし
 
相手は目つぶし(バッドステータス的にも、リアルプレイヤーの目にも)や、ホーリーなど、こちらのグラップラー精神を読まない攻撃を仕掛けてくるものの、そんなの関係ねえ!
 
ただなぐる。それだけだ。
 
それにしても・・・
 
攻撃がぜんぜんあたらないな。
 
ミス、とか出れば「相手の回避率が高い」とわかるのだが、命中しているのに、ぜんぜんダメージが通らないパーツがあるのだ。そこに攻撃が命中したとき、あたかも「中に誰もいませんよ」みたいなノリで被ダメージモーションが省略される・・・
 
もしかしてバグか?
 
なので激闘の最中ではあったが、グーグル片手に調べたわけですよ。
 
そしたら衝撃の事実が!
 
 

「グラフィックなしの本体4体+グラフィック担当のダミーが2体」というのが本来のネオエクスデスの実態。

 
え・・・ ちょっとなに言ってるかわかんないんですけど
 
つまりあれか。攻撃してくるのは4体だけだけど実はもう2体「とうめい」を防ぐためのパーツが存在して、そのパーツが「みだれうち」だけは肩代わりしてくれるというのか。
 
なーるほど、ザ、ワールド! 
 
 
なんじゃそりゃあああああああぁあ!!!
 
 
なにその中途半端な仕様? あるいは露骨なみだれうち対策! ゲームの 法則が 乱れる!
 
相手も残り1体になって発狂したらしく、メテオばかり撃ってくる。白熱したゲームはついに危険な領域へと突入した。

短期決戦を目指そうにも、「みだれうち」は倒した3体もしっかり殴るので、命中する確立は6分の1に落ちた。
 
では普通に、「なぐる」か? しかし、最後に残ったパーツはどうも後列設定が施してあるらしく、そもそも物理ダメージが通りにくい。HP数万に対してダメージ200とか、どないせいっちゅうねん。
 
「ちょうごう」はアビリティとしてつけてないので、パワーアップするお薬は使えない。
 
100万ゴールドほど持っているから、「ぜになげ」を使えば瞬殺だろう(ちなみにレベルは50)。「ぜになげ」をつけていればの話だが。
 
相手の攻撃はやむことを知らず、ファリスがこんがり焼かれてしまった。残念ながらファリスはダミーターゲットにならないので、ただ「みだれうち」の戦力が減っただけだ。
 
こうなったら・・・
 
こうなったら、奥の手を使うしかない。
 
私は涙を飲んで、「みだれうち」戦法を放てきする事にした。
 
まずファリスを生き返らせる。みんなで生きて次元のはざま脱出するのだ。
 
そして続いてレナの手番。
 
右手に「けんじゃのつえ」を、左手に「ブラッドソード」を装備させた。ブラッドソードは、「まりょく」を+5させる。
 
そして、「れんぞくま」を使わせ、使う魔法の選択に移る。
 
シェル、コンフェ、ケアルガ・・・ 今までお世話になった魔法が並ぶ中、その魔法は一覧の下にある。
 
選ぶは、FFV「しろまほう」唯一の攻撃手段・・・
 
 
「フッ 今 楽にしてやろう」 
私は選んだ。
 

「ホーリー!!!!」×2


「けんじゃのつえ」は、「ホーリーがパワーアップ!」する伝説の十二の武器の一つだ。
 
・・・
 
・・・・・・
 
・・・・・・・・・やったか!?
 
最大HPの5分の1近いダメージを与えたのだ。これでダメなら「うぼぁー」と叫ぶしかない。
 
 
 
ネオエクスデスが震えている。
 
最初、「グランドクロス」直前のぶるぶる震える動作かと思った。
 
しかし違った。
 
20年来、心残りだったネオエクスデスは、右からゆっくりと、その姿を消していったのだった・・・
 
 
※ ※ ※
 
 
人生で、初めてプレイしたRPGは、「ドラクエⅤ」であった。
 
 
決して貶めるわけではないが、ドラクエVの戦闘システムは極論してしまえば「レベルを上げて物理で殴ればいい」なので、小学一年生でも十分こなせた。
 
しかし、次に挑んだのがFFVはそうはいかなかった。
 
このスーファミRPGの金字塔の一つは、小学校低学年にはむずかしすぎた。
 
強力なザコ敵に、イジワルな初見殺し。せっかく覚えたアビリティも、使い方がわからない。

特に最初のほうのプレイは、 お粗末を通しこしてひどかった。

ダメージを受けたらしろまどうしにジョブチェンジして回復魔法をかける、という発想すらなかったのだ・・・
 
 
 

ドット絵グラフィックきれいだな
 
 
さて、エンディングである。
 
バッツたちは全員、無事「無」から帰還し、それぞれの日常へと戻っていく。
 
そして、さみしさを感じていたある日、ガラㇷが倒れた森(俺的にはメリュジーヌさんのいる森)で再会し、再び世界をめぐる旅へむかうのだった・・・
 
※ ※ ※ 

その日その場所で感じ、さらに時の風化に耐えた記憶は、生涯の記憶として残る。
 
その記憶が良いものであるか悪いものであるかは、その後の自分のふるまい次第であろう。
 
今回FFVのプレイでは、いろんな意味で「借りを返す」ことができた。
 
それは幼い記憶に対するものであり、未熟だった自分へのものであり、また、よい作品に対する感謝の意味も兼ねていた。
 
あ、あとPSVitaを無期限貸与してくれた知り合いにも感謝!
 
長編ゲームは1年に1本までという自分で作った掟があるので、しばらくはゲームからは離れる生活になるだろう。
 
思い出を慰撫し、新たな活力が必要になるその日まで、とりあえずはお別れだ。
 
 

★追記
 
「すで」で挑んだ次の日のこと、「本気」の装備でネオエクスデスに挑んでみたのだが、なんと即死の状態異常と「しのせんこく」のカウントダウンが重なって、負けてしまった。
 
FFVが、単なるゴリ押しじゃ勝てないっていう好例だな。


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