2016年11月11日金曜日

不思議な話 その6

 ポッキーの日に不思議な話。
 
 少し前、あるビール会社で働いていた。働くと言っても、派遣のアルバイトである。
 時は初夏。ビール会社的に言えば、お中元用のビールの出荷で忙しい。
 私はビールにステキなおまけをつける作業に従事していた。
 作業にも馴れてきたかな? と思ったある日、遅刻をしてしまい、私は工場内を急いでいた。
 工場内には大きな道路がつらぬいており、常時トラックやフォークリフトが行きかっている。
 横断歩道まで備えられており、そこを通るよう厳命されていた。
 私は作業場に急ぐため、その上を通らず斜めを横切る。車はおらず、危険は皆無だった。
 その日はいつもより多い出荷数を達成し、明日の準備も万全で作業を終える。
 終業後、派遣会社から電話がかかってきて、「ビール会社に入れなくなった」と伝えてくる。ようは、派遣切りである。
 なぜかと理由を問う。ああ、遅刻がやっぱりまずかったのかな、と身構える。
 派遣会社の担当者も、困ったような声でこう言った。
 
「横断歩道を無視したからです」
 
 ウソのような本当の話である。
 
 

 不思議な話を期待した人、スマソ。

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