2020年5月5日火曜日

古銭ガチャは損か得か

秋葉原とか、少し大きなゲームコーナーとかで、「古銭ガチャ」を見たことがあると思う。200円、あるいは300円で回せるアレだ。
見かけたら回しているのだが、数がたまってきたので記事にする。

▲右がちょっと小さい。理由は後述。

多いのは、やっぱり寛永通宝だ。

※2021年追記
2021年ごろから、寛永通宝がほぼ見られなくなり、昭和初期の貨幣が中心となった。

寛永通宝は、発行が200年近く続いたこともあって、だいたい60億枚ぐらい出回っているらしい。買取価格も1円~数百円が多く、古銭だが骨董品としての価値はない。

教科書に出てきた和同開珎とか皇朝十二銭とか(どっちも博物館レベル)は、まずお目にかかれない。





貨幣単体としては、寛永通宝が多めなものの、時期別にわけると、昭和初期のものが一番多い。


昭和だと、硬貨だけでなく、紙幣もガチャで出てくる。

小さいカプセルの出てくるガチャで、大きなカプセルが出てくれば、中はだいたい紙幣だ。


▲わりと保存状態が良く、ガチャの中では当たりの部類。まあ、ガチャ費300円の元は取れないが

ハト10銭札。1947年から53年の間に発行された。

画像のハトは保存状態がいい方だけど、出てくる貨幣には汚いきれいの差が激しい。


▲どちらも1944年発行の十銭錫(すず)貨。左はちょっと怒っていいレベル。


▲武将の楠木正成が描かれた五銭札。下はまちがって洗濯機で回したのかな?

昭和初期っていうと、日本が経済力をつけ始めてきたころで、つまり貨幣の発行部数も多い。

ようは、さして古くはないものの現役のお金というわけではないので、「古銭」って扱いにしてガチャで出るのだ。

さっきのハト銭だと1947年の発行で、ここまで最近だと古銭として扱っていいのかどうか怪しくなってくる。

で、気になるのがお値段だろう。

果たして掘り出し物はあるのか? 海老で鯛を釣るは実在するのか? ☆5キャラは当たるのか


結論から言うと、元を取るのは不可能に近い。


どうも、古銭商で単品では売れないものがガチャとして回ってくるようで、ぶっちゃけ古銭が欲しいなら、しかるべきところで気に入ったのを買った方がいい。


▲楽天にて2200円で購入。「天保通宝」「文久寛永」「寛永通宝(古寛永含む)」の、江戸時代の貨幣セット


では、ガチャを回す価値はあるのだろうか? 

課金一瞬嫁一生というが、あいにく古銭に萌え要素はない(将来、刀剣乱舞みたい出てくるかもしれないが)。

ガチャを回す価値、それは、お金の歴史がわかる、ことだろうか。



最初に紹介した寛永通宝の裏側。わかりにくいが、中央のには「文」の字が印字されている。

これは「文銭」と呼ばれるもので、江戸時代の寛文年間に鋳造が開始された。

マニアは文銭から、さらに刻まれた書体で価値の良しあしを決めるらしいっすよ。

また、右の寛永通宝は少し小さい。


有名な新井白石や徳川吉宗の政策の失敗で不景気になって、仕方なく原料の銅の量を減らした寛永通宝を発行したのだが、どうもそれのようだ。




▲大正11年発行の十銭貨。

よく見てみると、寛永通宝の四文銭(一文と四文があった)と同じ波型模様が刻まれており、影響を感じる。

ちなみに、当時はコーヒー一杯が10銭。



▲そういえば、10年ほど前、兵庫県三宮のアーケード街に、「3枚250円」かなんかでこれらが無造作にお菓子の箱みたいなのに入っていたのを思い出す。あの店は、今でもあるのだろうか・・・

左は1943年発行のアルミ製の一銭貨。右は1945年発行の錫製の一銭貨。

どうして材質を替えたのかというと、当時は戦争中で、飛行機を作るのにアルミニウムが必要だったからだ。

(なお、回収され、数が減ったはずなのに、アルミ一銭貨の買取価格は100円に満たない)。



結局なにが言いたいかっていうと、ランダムに出てくるコインについていろいろ調べるので、知的好奇心が満たされますよってことだ。

例えば、今でも寛永通宝が使えるところがあるのはご存じだろうか?

ゲームのプレイ時間に制限を設けたことで有名な香川県の観音寺市では、なんと寛永通宝が現役で使える。

なんでも「観光資源」という扱いらしく、1枚30円で使えるそうだ(粗悪品である鉄銭は使用不可)。

ただ、寛永通宝はものによっては数百万円するらしいから、ただの30円として使用してしまうと人生を棒に振るに等しい嘆きに見舞われる可能性がある。

※ ※ ※


古銭ガチャ。もし狙うのなら、「大当たり」(貨幣が鍵つきのケースに別個に保管してあるやつ)がある300円のガチャだろう。

とゆうのも、秋葉原とかにある200円のものは、200円以上の価値がつくものはまず入っていないため、「もしかしたら」という期待感がない。

もちろんこの考えは、「ガチャの中にちゃんと当たりがある」という人を信じる心が必要だが。




▲令和元年製(発行部数がわりと少ない)の硬貨も集めていたりする。これが古銭になるのはいつだろうか・・・



※2021年追記

ここまで、200~300円のガチャについて語ってきた。

しかし古銭ガチャには、1000円のもある。

それをちょっと紹介。



▲天保通宝。買取価格はだいたい数百円で、ハズレの部類。





▲拾(10)円紙幣。美品だと1000円以上の近い売り値がつくが、これは雑巾がけに使ったみたいにボロボロ。




▲札幌オリンピック(1972年)の記念メダル。ガチャの大当たり(つまり、ガチャから鍵が出てきて、そのカギを使って横の商品棚から受け取る)だ。

たしかにそこそこ貴重なのだが、個人的に記念メダルにさほど関心がないため、少々残念である。

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