昔から、人間がどうやって「産まれる」かは大きな謎だった。
人類がまだ土器づくりに精を出していた時代、その神がかり的な作用から、女性が崇められ、一種の母系社会が形作られた。その後時代が下った古代ギリシア・ローマ時代、自然科学が発達してくると、「精子(スペルマ)」がクローズアップされることになる。女性は畑であり、そこに男が「種」をまくって認識だ。
ちなみに、古代ギリシア・ローマでは「男が子を産む」という表現が、わりと使われた。女性ももちろん「産む」のだが、男の働きも考慮して、「産む」と言われたのだった。今の感覚からすると「ん?」だろうが、哺乳類はオスメスがいないと繁殖できないことを考えると、あながち間違いとは言えない。
やがてもっと時代が下って、顕微鏡が発明されると、いよいよ「精子」が発見された。当時の顕微鏡はまだ性能がしょぼかったから、
「おたまじゃくしの頭の部分にうずくまる小さな人間を見た」
なんていう報告もあったけど、とにかく精子を科学的に考察する時代になった。
で、何が言いたいかというと、動物の精子はずいぶん昔から認識されていたということだ。
ところが、植物にも精子があるなんていうのは、あまり考えられていなかった。海藻とかコケとかの精子は 発見されていたみたいだけど、種を作るいわゆる「種子植物」では、花粉で受精するというのが定説だった。
今回行ってきた「小石川植物園」には、初めて精子が発見された植物が、現在でも健在だ。それがコイツだ。
ズバリ、「精子発見のイチョウ」。もうちょっとネーミングに工夫を凝らせなかったのかと考えるところだけど、まあ、わかりやすいと言ったらわかりやすい。
この記事では、「小石川植物園」について、ちょっと紹介したい。
小石川植物園の歴史は、江戸時代までさかのぼる。設営は1684年で、当時は、徳川幕府管理下の薬草園だった。そういえば徳川幕府の開祖家康は「健康マニア」であったな。
入り口で400円払って入場すると、早速この植物が出迎えてくれる。
「精子発見のソテツ」と呼ばれていて、さっきのイチョウと同じく、植物学上の大発見だそうだ。このソテツは、精子発見のソテツの文株、いわゆるクローンだ。
文章ばかりじゃあれなので、ここからは気になった植物の写真をアップしていこう。
バショウ
ユリノキ
まりもっこり、じゃなくてマメヅタ
アッサムチャ
イヌムギ
しかし、さすが日本で(たぶん)一番有名な植物園である。観葉植物だけでなく、イヌムギのようなド雑草を看板付きで展示している。
ついでに言うと、「なろう小説」の『ログ・ホライズン』で「スモールストーンの薬草園」っていうのが出てくるけど、ほぼ間違いなくこの小石川植物園を元ネタにしている。
なお、日本庭園も整備されていたりする。
他にもこんなものも。
これはニュートンのリンゴの樹だ。イギリス人は、ニュートンが「万有引力の法則」を発見するきっかけとなったリンゴの樹の枝を気前よく世界各地に配っていて、これはそれが生長した姿だ。
あと、「メンデル葡萄」というものもある。
「遺伝の法則」で有名なメンデルが実際に実験に使ったブドウを分譲してもらって、育てているのだそうだ。
園内は、2時間ほどで回れる。もちろんじっくり見るならもっとかかる。
アクセスは、東京メトロの茗荷谷(みょうがたに)駅から徒歩20分ほど、「なんだよその駅?」と言う人は、東京ドームから歩いて来ることをオススメする。所要時間は同じく徒歩で20分ほどだ。夕方から始まる巨人戦の前に、ちょっと寄ってみるのもいいかもしれない。
ーーー
0 件のコメント:
コメントを投稿