2015年6月17日水曜日

みんなも、身の丈にあったシナリオを書こうね

・2015/06/9のセッション

 さて、先週の話である。
 時刻は夜の11時過ぎ。我々にはやるべきセッションが二つあった。
 一つはnelico氏が初めて書き下ろしたシナリオで、もう一つは私こと金魚顔が約3日で書いたシナリオだ。
 あいにくメンバーの一人が体調不良で不参加なため、この場にはみかん氏含めて三人しかいない。一人はGM(ゲームマスター)役だから、プレイヤーは二人だけだ。
「(もう一人が体調回復して途中参加すること前提で)プレイヤー二人でなんとかなるゲームバランスのシナリオって、どっちです? そっちから先にやりましょう」
 みかん氏がたずねる。
 どちらも首をふった。
 結局、私のシナリオから先にやることになった。長丁場が予想されるシナリオで、体力があるうちにやってしまおうという作戦だ。
 私は両名にキャラをもう一人作ってくれるよう頼んだ。一人二役、計四人パーティーなら、プレイに支障のないシナリオだったからだ。
 これが悲劇の始まりであった。

 私のシナリオは、ソードワールド2.0ではお馴染みのルキスラ帝国が敵役の物語である。PCたちはルキスラに攻められている新興国に傭兵として参加しており、ひょんなことから「概念鎧(がいねんがい)」と呼ばれるロボットにのる。ロボットはPCの普段のデータの×10倍の性能(防御力だけはMPの2倍)を誇っており、普段は倒せないような高レベル蛮族や多数の敵を無双してゆく、戦闘に戦略シミュレーションみたいなコマとヘクスマップをとりいれた、GMの処理的な意味で危ないシナリオである。
 しかし問題は、シナリオだけではなかった。PCのキャラの濃さである。

 nelico氏の二人のキャラは、もうまったく問題がなかった。人間の拳闘士&グラスランナーのシューターで、二人とも氏の誠実で謙虚な人柄を反映した、GMの慈雨みたいなキャラである。
 みかんのキャラは凶悪であった。
 一人は前回のシナリオから続投のリルドラケンのマイラルで、新たに夫と子どもを殺されてその肉を知らずに食べさせられた設定が明るみになり、どこのギリシア悲劇からお越しで? なキャラにアップデートされた。
 もう一人はラルバ(ヴァンパイアに似た種族)のキールで、守銭奴で借金持ちの180歳の女(しかも冒険者LV5の低性能)というひねくれる材料しか見つからない、事実ねじまがった性格を持つ中年である。

 それでも物語の最初は、筆者があからさまに立てたフラグを四つほどへし折られる以外、つつがなく進行した。
 おかしくなってきたのは、「めんどくさい」との理由で、シナリオ上重要なルキスラと新興国のあいだの戦争原因の説明をすっ飛ばしたところからだろうか。
「困ったちゃん」キールは制作したPC自身の手で敵中に置き去りにされ、「戦闘での操作が大変」ということでnelico氏の二人のキャラが一つのロボットに乗る。どちらも戦力が減って、勝って欲しい戦闘で勝ちにくくなるので、GM的にやってほしくないことである。
「敵に特攻する!」と息巻く青年をヘクス戦闘で死なせないようにするイベントでは、「足を折る」という創意工夫の裏技で彼をヘクス戦闘自体に参加できなくさせるし、ヒロインとして設定したウィンディちゃん(マイラルと共に前回のシナリオから続投)は完全に空気キャラと化す。
 ヘクス戦闘にも大いに問題があって、これはテストプレイを怠った筆者に責任があるのだが、基本ステータスの×10倍の能力だと回避率が高くなりすぎて命中判定と回避判定がまったくのいらない子になるうえ、ゲームの自由度を高める目的で作ったロボ専用の防具を全部つけるとダメージが7~8点しか通らなくなってしまい(PCのHPが400前後もあるのに!)、昔のファミコンゲームみたいにちまちまとダメージを与えるだけの戦闘になる。

 それでもなんとか最終決戦にこぎつける。「マナ爆弾」と筆者が名付けた一種の戦略兵器を食い止める、予定では一番の盛り上がり場面である。回避率自体は「×10倍」から「×5倍」に下方修正することでなんとかなったものの、根本的なゲームバランスの修正にはいたらず、防具をしっかり着込んだnelico氏はガン無視でみかん氏のPCばかりを狙う戦闘に。しかもルキスラ皇帝に買収されて敵に成り下がったみかん氏制作のキール(もちろん概念鎧装着)を、筆者が動かすという変則プレイ。
 ラルヴァという種族はもともとの筋力がやたら高く、ダメージ量も半端ない。しっかり防具を着込めば防げるものの、みかん氏のマイラルは防具よりも武器を優先し、大砲を三つも持つ「男のロマン」を追及していたため、装甲が紙であった。
 お助け役のNPCの一人に新兵器を持たせて無事届けさせるものの、次のキールの攻撃でそのNPCが死亡し、しかもせっかくの新兵器を使う前にマナ爆弾が積まれたパンジャンドラム(ミリタリー好きな人はググるといい。きっと笑える)が撃破されるカオスな自体に。
 とにかく中に封入されていたマナ爆弾をゲットしたものの、ここからは筆者とみかんの暗闘が始まる。
 それはマイラルを死なせて悲劇のキャラに仕立て上げたいらしいみかん氏と、マイラルを気に入っているので今後のシナリオでも登場して欲しい筆者との、文字通り生死をかけたシナリオのオチの持っていき方である。
 筆者としては「マナ爆弾の捕獲」→「それを自軍に使われることをおそれたルキスラが休戦を申し込む」というシナリオの流れだったのだが、敗れるやPCたちの手元に返り咲いた拝金主義者のキールが爆弾を競りにかけ始めたため、収拾がつかなくなる。しかもほの暗い経歴から死にたがっているマイラルが、概念鎧にのったまま爆弾ごと海中に沈んで封印するという話に志願して、すったもんだのあげくそんな風になったのだが、「やっぱり後味が悪いよね」ということでアニメ版エクセルサーガ風の「大宇宙の意志」が働き、最終決戦を中ほどからやり直すことに。
 二回目の最終決戦もつつがなく勝利し、二回目ということでマナ爆弾を取り出すときに反応するトラップにもひっかからない。この時はマイラルも死なず、隣の国にある地中深いダンジョンに隠すというオチになったのだが、そもそもその国が核爆弾並みの兵器を自国の地中に埋めさせるのはおかしいという疑問が出て、「やっぱり最初のオチにしようか」と話し合ったところでいよいよ時刻は朝の九時になり、そのままPC、GM共に力尽きたのだった。

 このセッションをまとめると、参加人数が足らず一人二役をやってみたもののグズついて結局ダメで、しかも新たに作られたキールというキャラがいろいろやらかしたあげく、筆者が前々から温めていたヘクス戦闘も不都合が多い上、主要PCの死亡と非死亡、二つのエンディングが出来上がり、クロノトリガー(リメイク版)のごとく「エンディングの数だけパラレルワールドがある」みたいなオチに落ち着いて、結局次回のセッションどうしよう、と頭の痛い結果になった。

 次は単純なセッション、あるいはちゃんとプロが作ったセッションをやるぞ、うん。

 さて、我々には紹介すべきセッションがもう一つある。nelico氏制作のセッションである。それはまた次回に。

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