2021年6月15日火曜日

グランディア パラレルトリッパーズ 感想と評価

 


据え置き機で売れた作品の外伝を、携帯機で出すってことは、昔からあった。


 ▲箱の中身。取説が2つもある。

「グランディア パラレルトリッパーズ」は、初代グランディアの外伝的な作品となる。2000年に、ゲームボーイカラーで発売された。今から20年以上前の作品だ。

これをプレイしたので、感想。



■どんなゲーム?


非常に簡単に言うと、有名な『グランディア』の、キャラゲーだ。

主人公が「グランディア」の世界に飛ばされ、そこでグランディアのキャラと冒険する。

テイルズシリーズの「マイソロ」みたいなお祭りゲームに近いかもしれない。



■シナリオ

必要なものだけ、そろえたって感じだ。

現代からグランディアの世界に飛ばされた主人公が、同じく飛ばされた気になるあの子を探しつつ、元の世界に戻るべく活動する。

肝心のグランディアキャラだけど、ネームドキャラはほぼまんべんなく登場している。「いやあんたもかよ」、ってキャラまで出る。そして、パーティキャラになる。

GBソフトの容量の関係上、どうしても会話はボリュームが少ないないものの、ちゃんと「ああ、らしいな」と思わせてくれる。どういうキャラかわかっている人の手によるセリフなのだ。

マイソロだと、たまに「いや、これはないだろ」ってセリフや行動をするから・・・



■グラフィック・BGM


ゲームボーイなので、グラフィックはドット絵となる。

「ゼルダの伝説夢を見る島」とか「テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン」に近い。

顔グラは、セガサターンである本家グランディアを再現しようとした感じは伝わる。少なくとも、「ああ、フィーナだな」とか「レムか!」とかはわかる。ほらそこ、似てないとか言わない!

・・・でもまあ、グラにムラがあるのは事実だ。スーはめっちゃできがいいのに、フィーナやリエーテときたら・・・


BGMは再現度が高い。戦闘曲、「世界の果て」、メインテーマ、ちゃんと曲がわかる。

「戦闘曲2」が、雪のステージに使われていたのには笑った。そして、妙にあっている。

ファンディスクである「デジタルミュージアム」からも、曲が採用されている。



■ゲームの流れ


RPGであり、準備を整えてダンジョンを探索し、目的を果たす。

主人公見下ろし型(一部例外あり)の、シンボルエンカウント式。

謎解きはあるが、ほとんどが平易でやさしい。ポケモンで言うところの「かいりき」を使って岩を押して、スイッチにのせるみたいな感じだ。

アクション要素があって、ジャンプで穴を越えていく。ゼルダの「夢を見る島」に似ている。

穴の判定が少々シビアで、すぐ落ちる(落ちるとパーティキャラにダメージ)。



■戦闘システム

このゲームは、戦闘で試行錯誤して楽しむゲームなので、ある程度の文章を割きたいと思う。


○大まかな説明

戦闘は、本家の傑作システムをGBで再現しようとして、かなりの程度うまくいったものになっている。


行動ゲージがたまってからアクションに移すシステムで、素早さ順にライン上に並び、それぞれのキャラが移動を開始。

向かって左端(COM)についたら好きなアクションを選択し、1~8ゲージのどれかにキャラを配置。配置されたキャラは右に移動。右はじ(ACT)に行ったらそのアクションを実行する。

右に近いところに置いたら素早く発動でき、左に近いところに置いたら威力の増加その他メリットが付与される。

また、キャラをゲージに隣接して配置すれば、右端に行ったとき「アクションコンボ」が発動することがある。これは合体技で、選んだアクションによって追加攻撃その他が起こる。


アクションは「カード化」されていて、合成することによって新たな特技を生み出していく。『ドラクエモンスターズ』の配合に近い。

『女神転生』シリーズの「合体事故」に似たことも起き、うまくいけば序盤から強力なアクションが手に入る。というより、敵の強さや手に入るアクションの内容的に、合体事故の利用が前提の難易度のように思う。


そのアクションの主な入手方法は、宝箱と敵からのドロップ、そして「ガチャ」である。

比喩表現ではなく、本当にガチャを回してランダムに入手するのだ。

当たりのアクションは、回復魔法や相手のアクションを「キャンセル」する攻撃になる。

原作にもあったこの「キャンセル」が、戦闘の最重要の概念となる。


ようは、この攻撃をすると、確率で、アクションをするべく左から右に移動している敵を「キャンセル」し、右から左に移動する段階に押し戻すことができるのだ。

そんな特技があるため、必然的に「先攻有利ゲー」となる。原作同様、うまくいけばターンをわたすことなく相手を殲滅できる。


問題点は、ワンターンキルができないボス戦だと、返しのターンでフルボッコにされることだ。


○問題点

ボスはかなり手強く、正直に言えば、戦って楽しくないボスがしばしばいた。

複数体いるし、先手を取るし、攻撃がはげしいし、あまつさえ回復魔法まで使う。

相対的にこっちも弱い序盤~中盤なんか、全滅前提で挑んでガメオベラしてから、改めてスキルと装備を見直して挑むなんてことを頻繁にやっていた。

敵のHPが表示されることから、詰め将棋的に戦略がたてられるのだが、逆に、

「こっちのキャンセル攻撃が失敗+相手の攻撃がクリティカル+別の敵のアクションで味方が状態異常」

とかの展開になると、負けが見えてしまって、そのまま電源をOFF→ONしてやり直すことがしばしばあった。

味方3人VS敵3体の戦闘が基本なので、1人脱落するだけで手数が減ってしまって、立て直しが困難or出来てもそれなりに時間がかかるの状態に陥るのだ。

とくにこのゲーム、どこでもセーブができるので、むしろこれをやらない選択肢がない。

電源のON/OFFを繰り返すという、ゲームの枠組み外での行動は、先述の「アクションカードガチャ」でも実行するので、このあたりは、少し残念な点である。


「テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン(このゲームと同い年)」もそうだけど、本来プレイヤー4人で挑む戦闘形式をゲームボーイの制約上で3人で挑む形式に落としこんだ作品は、戦闘の難易度調整が一声足りないような気がする。

この「パラレルトリッパーズ」も、発売された当時に自分がプレイしたら、クリアできたかは怪しいところだ。


このゲームで、ぜひ実装してほしかったのは「防御コマンド」だ。

原作だとかなり重要なファクターにもかかわらず、パラレルトリッパーズではオミットされてしまっている。おかげで、敵の攻撃を甘んじて受けることが多かった。

(アクションの選択によっては防御に近い行動がとれるのだが、欲しかったのはSPを1たりとも消費しない防御手段である)

被ダメを(魔法攻撃によるダメも含めて)5分の4まで減らせたなら、ちょうどいい塩梅になったと思う。



■感想と評価

クリアまでは、ゲーム内時計で22時間。「リセマラ」も考えると、もう少し時間かかっているか。

ネットを見ると、だいたい15時間ぐらいでクリアしている人が多いから、なんだかんだで時間をかけて楽しんだことになる。

ゲームボーイという携帯ハードの制約から、物足りない部分はあるものの、よい作品だと思う。

戦闘のシステム周りは人を選ぶ仕様だけど、『グランディア』をやったならなじめるはずだ。

キャラゲーとしては及第点で、それぞれのキャラには、最低限会話が用意されている。


▲グランディア名物? 「母親が仲間になる」

原作では途中で離脱してしまうキャラもラストまで連れ歩けるし、敵だったミューレンやリーン、パコンやチャン先生までパーティキャラとして仲間になる。

キャラごとに使いやすい使いにくいはあるものの、種類豊富な「アクション」によって、やりようはある。


自分の感想としては、

小学生の頃にプレイしておきたかったゲーム

だろうか。

戦闘で少々文句は言ったけど、小学生の時に手を出したなら、黙々とプレイしたと思うし、何よりグランディアキャラと再び冒険するという欲求は、満たしてくれる。


※ ※ ※


『グランディア』そのものはswitchやsteamで配信されているので、そこでキャラに愛着を抱いたら、手を出してみてもいいかもしれない。

安いところなら、中古で500円ぐらいで手に入る。



※おまけ

■LV50にすべきアクション

LV上げると威力が上がるし、なによりLV50にすると、消費APが半分になる。


○フルスイング

敵全体に物理ダメージ+キャンセル率30パーセント。素晴らしい。

このアクションが序盤に手に入ったことで、相性のいいミルダが手放せないキャラになってしまった。


○ミケロマキシム(ミケロマム)

全体回復。ボス戦ではお世話になるが、いかんせん燃費が悪い。LV50まで上げて半減しよう。


○シルフィード

敵をすべてキャンセルする。一発逆転のチート魔法だが、いかんせんAP消費量が重い。リエーテなどAPが潤沢なキャラじゃないとまともに運用できない。半減を狙おう。


○サイバーアタック

敵にダメージを与えつつ、全能力を下げる。この能力下げが鬼畜。こうげき、ぼうぎょ、せいしん、まりょく、すばやさ。すべからく下がる。

こっちの被ダメが激減し、与えるダメージは笑うぐらい増加するぞ(ラスボスさえ2500ぐらいのHPなゲームバランスで、1000ダメージぐらいは行く)。ラスボスにも普通に効く

なお、ミルダが装備できる。


○メテオストライク

「メテオ」とつく魔法はどのゲームでも強い傾向があるが、グランディアでもそうである。

ザコ敵の一掃、ボスへの痛打、活用の機会は多い。


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