2019年1月10日木曜日

出張先でもプラモ 第10回 シルフィー(コトブキヤ「フレームアームズ・ガール」シリーズ)レビュー付き

 
かつて、一部の紳士たちのハートをわしづかみにした「武装神姫」。



高度なお人形遊びともいうべきそれは、「美少女」+「メカスーツ」というニッチな需要を高い技術力で開拓し、マンガになり、アニメになり、衆目に知られるようになった。


  その流れをくむ「フレームアームズ・ガール」に、今日は挑戦する。
 


パーツを確認。


シルフィーは正確には、純粋なフレームアームズ・ガールズではなく、「デスクトップ・アーミー」という他社のメカスーツ少女とのコラボアイテムではある。


そもそもフレームアームズガール自体、「フレームアームズ」というリアルロボット路線の派生物だ。


ようは、派生物が美少女つながりでコラボしたってことだ。



パーツを触った感じは、ガンプラにちょっと似ている。つまりABS樹脂の、独特な「きゅっきゅ」とする手触りだ。


見ての通り色分けされており、細かい部品もある。関節の部品の構造なんかは、ガンプラの影響が感じられる。


そして、ガンプラと同じように、接着剤なしで組めるスナップキットとうたっている。


これは技術上、製品化はかなりむずかしい。部品のはめあいとか大丈夫かよ・・・


とにかく、組めばわかる話だ。



・・・組み心地は、関節部がやや硬い以外は、特に問題ない。




▲ツインテールの部分(大きさ比較のための五円玉付き)


▲左腕


▲右腕


▲左脚



▲右脚


▲胴体。この腰回りの造形はhentaiの仕事ですね・・・



▲見ての通り、手足首胴体は動かせる構造になっている。この大きさで、ここまで稼働箇所があるのはすごい


▲素体はこんな感じ。お、かわいいじゃーん


▲外付け式のオプションパーツ。ガンダムについてそうなウイングと、銃とマガジン、ナイフ、それにアップリケアーマー
 
 

▲完成!
 


だいたい昼ごろから組み始めて、夕方には組みあがった。
 
 

組んでみた感想。


ちっちぇえ・・・

 
完成品105ミリと明記してあるので、予想はしていたが、ちょっと小さすぎる。




がっかり、とまでは言わないけれど、いくらなんでも箱に対してこのサイズは・・・。君はエロゲーか何かかな?

ちょうどファインモールドの九七式軽装甲車を組んだ後の気持ちに近い。あれもこんまいからなぁ。


ただ、各部の造形はかなりいい。




とくに3種類ある顔は素晴らしく、能の「面」のように、見る角度によって微妙に雰囲気をかえる。

 









パーツの色分けもしっかりしており、素組みで十分楽しめる。

ただ、オプションパーツは少し色を塗ったほうがいい。全部ではなくて、説明書をもとに、必要なところだけ塗る感じだ。







はい、塗ってみました。

 



銃のダットサイトとマガジンの底を緑で塗り――




ナイフの部分をザクのヒートホークみたいに塗装した。手首の溝の部分も同じ色で塗っているぞ。

 


色を塗るのに使ったのは、ミスターホビーカラーの「アクリジョン」という塗料だ。

乾いていなければ水で洗い流せる、新時代の塗料だ。
 


▲色の指定表

この子に完璧に対応している塗料はなく、各自で複数の塗料を混ぜて作る。


これはかなりむずかしいので、塗装に自信のない紳士諸賢は、成形色で楽しもう。






ただ、塗装しない場合でも、軽い墨入れは行なったほうがいい。あくまで軽くだ。

戦車模型みたいに強くすると、せっかくの女の子が小汚くなってしまう。


あと、わかりにくいが、髪のところにもダットサイトと同じ深緑色で、墨入れをしている。平面的な見た目が改善されたと思う。




▲腕のパーツが角ばっているので、ファイティングポーズが似合うと思う。
 


▲脚はここまで開く。無理をすればもうちょっとあがるな。

 


▲残念ながら、足はそんなに長くない。スレンダーな美少女をご所望なら、他のフレームアームズ・ガールの、足の長い娘とすげ替えよう。



▲かかとの部分に引き込む式のアンカーがついており、これは接地面積の増大にもなる。


ただ、これがなくても直立性はかなりいい。








 

むかし、知り合いに聞いた言葉がある。




「いいフィギュアの条件は、自分で立つことだ」


その意味では、シルフィーはいいフィギュアと言えるだろう。




もちろん、専用のスタンドもついているので、「風の妖精」らしく空を舞う姿勢もとれる。




▲余談だけど、働くようになってから、昼の自然光の中で写真を撮ることがやりにくくなってしまった。蛍光灯だと、変な反射が出てしまう。


シルフィーとは風の妖精の女性形のことだ。

たぶん世界で一番有名な風の妖精は、シェイクスピアの戯曲『あらし』に出てきたエアリエルで、老賢者の小間使い的なポジだった。


日本だと、日産の車に「シルフィ」というのがある。


個人的には、ゲームの「テイルズシリーズ」の大晶霊(召喚獣みたいなもの)が思い浮かぶ。


特に初代ファンタジアでは、主人公の「秋沙雨」系列の技と組み合わせた、誰でもお手軽100HITのお供だった。


あと、歌にも「シルフィード」があるな。「アンインストール」で有名な石川智晶さんが歌っている。いい曲なので、一度聞いてみるといいぞ。



▲オプションパーツ、そしてツインテールをとりはずした状態。ツインテは動く





●まとめ



では、レビューを少し。

小さいサイズながらも、完成度が高い。

可動域が良好で、さまざまなポーズが取れる。美少女プラモデルにさして関心がなかった人にも「お」と思わせてくれる。

パーツの色分けも十分で、非常に手軽に完成品をおがめる。

パーツの中で、特に顔の差分がよく、物言わずとも「個性」が感じられる。



ただ、「少し小さい」というのは気になる点だ。

だいたい同じ価格帯の色分け済みプラモと比較した場合、どうしても割高感が目立ってしまう。

「SDガンダム」とほぼ同じ大きさで、4800円という定価は、高いとは言わないまでも強気と言って差し支えない。

需要の少ない「萌え系プラモ」ということで、価格設定に顧客への「甘え」が出たのかな、と勘ぐってしまう。

自分は専門店の特売で、2割引きで買ったのだが、そのぐらいの価格帯がちょうどよいと思う。

あと、パーツに関してだが、手のパーツに一つぐらい差分があってもよかったと思う。

握りこぶしの手しかないのだが、開いた手を(せめて片手分)、つけてくれてもよかったと思う。


▲手首のパーツ

パーツに関してもう一つ指摘しておくと、見えにくいが、青いものが混ざっているのがお分かりいただけるだろうか?

金型に流しこむ際に、比率がまずかったのか、あるいは離型剤かもしれない。



ただ、パーツそのものの強度やはめあいに問題はない。欠陥とは言えない。

それに、わざわざフレームアーム・ガールズを組む人間は、このぐらい簡単に修正できるだろうし・・・



サイズが小さい点も、「飾っても場所を取らない」ので美徳になりうる。

関節を組む時に少し硬い部分(特に足の付け根)があるが、強度不足で壊れやすいよりはずっといい。



自分はエアガン用の潤滑スプレーで、滑りをよくした。かなりなめらかになるので(自己責任で)お試しあれ・・・


結論を言おう。


美少女プラモに興味のない方にもオススメできる。




むかし、「いいフィギュアの条件は、自分で立つことだ」の言葉を伝えた知人が、武装神姫でぐりぐり遊んでいて、「楽しいのだろうか?」といぶかしんだものだが、なるほど、少し楽しみがわかった気がする。

ちなみにその知人は、「アクリジョン」の存在も教えてくれた。

いろいろありがとなー


彼が教えなければ、「フレームアームズ・ガールズ」を組むことはなかっただろう。

と、最後に個人的な礼をのべて、今日はここまで。

ご愛読感謝。




▲世の中にはこんなものがある

→「ストライカーVer」はこちら

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