かつて、一部の紳士たちのハートをわしづかみにした「武装神姫」。
高度なお人形遊びともいうべきそれは、「美少女」+「メカスーツ」というニッチな需要を高い技術力で開拓し、マンガになり、アニメになり、衆目に知られるようになった。
その流れをくむ「フレームアームズ・ガール」に、今日は挑戦する。
パーツを確認。
シルフィーは正確には、純粋なフレームアームズ・ガールズではなく、「デスクトップ・アーミー」という他社のメカスーツ少女とのコラボアイテムではある。
そもそもフレームアームズガール自体、「フレームアームズ」というリアルロボット路線の派生物だ。
ようは、派生物が美少女つながりでコラボしたってことだ。
パーツを触った感じは、ガンプラにちょっと似ている。つまりABS樹脂の、独特な「きゅっきゅ」とする手触りだ。
見ての通り色分けされており、細かい部品もある。関節の部品の構造なんかは、ガンプラの影響が感じられる。
そして、ガンプラと同じように、接着剤なしで組めるスナップキットとうたっている。
これは技術上、製品化はかなりむずかしい。部品のはめあいとか大丈夫かよ・・・
とにかく、組めばわかる話だ。
・・・組み心地は、関節部がやや硬い以外は、特に問題ない。
▲ツインテールの部分(大きさ比較のための五円玉付き)
▲左腕
▲右腕
▲左脚
▲右脚
▲胴体。この腰回りの造形はhentaiの仕事ですね・・・
▲見ての通り、手足首胴体は動かせる構造になっている。この大きさで、ここまで稼働箇所があるのはすごい
▲素体はこんな感じ。お、かわいいじゃーん
▲完成!
だいたい昼ごろから組み始めて、夕方には組みあがった。
組んでみた感想。
ちっちぇえ・・・
がっかり、とまでは言わないけれど、いくらなんでも箱に対してこのサイズは・・・。君はエロゲーか何かかな?
ちょうどファインモールドの九七式軽装甲車を組んだ後の気持ちに近い。あれもこんまいからなぁ。
ただ、各部の造形はかなりいい。
とくに3種類ある顔は素晴らしく、能の「面」のように、見る角度によって微妙に雰囲気をかえる。
ただ、オプションパーツは少し色を塗ったほうがいい。全部ではなくて、説明書をもとに、必要なところだけ塗る感じだ。
はい、塗ってみました。
銃のダットサイトとマガジンの底を緑で塗り――
ナイフの部分をザクのヒートホークみたいに塗装した。手首の溝の部分も同じ色で塗っているぞ。
乾いていなければ水で洗い流せる、新時代の塗料だ。
▲色の指定表
この子に完璧に対応している塗料はなく、各自で複数の塗料を混ぜて作る。
これはかなりむずかしいので、塗装に自信のない紳士諸賢は、成形色で楽しもう。
ただ、塗装しない場合でも、軽い墨入れは行なったほうがいい。あくまで軽くだ。
戦車模型みたいに強くすると、せっかくの女の子が小汚くなってしまう。
あと、わかりにくいが、髪のところにもダットサイトと同じ深緑色で、墨入れをしている。平面的な見た目が改善されたと思う。
▲腕のパーツが角ばっているので、ファイティングポーズが似合うと思う。
▲脚はここまで開く。無理をすればもうちょっとあがるな。
▲残念ながら、足はそんなに長くない。スレンダーな美少女をご所望なら、他のフレームアームズ・ガールの、足の長い娘とすげ替えよう。
▲かかとの部分に引き込む式のアンカーがついており、これは接地面積の増大にもなる。
ただ、これがなくても直立性はかなりいい。
むかし、知り合いに聞いた言葉がある。
「いいフィギュアの条件は、自分で立つことだ」
その意味では、シルフィーはいいフィギュアと言えるだろう。
もちろん、専用のスタンドもついているので、「風の妖精」らしく空を舞う姿勢もとれる。
▲余談だけど、働くようになってから、昼の自然光の中で写真を撮ることがやりにくくなってしまった。蛍光灯だと、変な反射が出てしまう。
シルフィーとは風の妖精の女性形のことだ。
たぶん世界で一番有名な風の妖精は、シェイクスピアの戯曲『あらし』に出てきたエアリエルで、老賢者の小間使い的なポジだった。
日本だと、日産の車に「シルフィ」というのがある。
個人的には、ゲームの「テイルズシリーズ」の大晶霊(召喚獣みたいなもの)が思い浮かぶ。
特に初代ファンタジアでは、主人公の「秋沙雨」系列の技と組み合わせた、誰でもお手軽100HITのお供だった。
あと、歌にも「シルフィード」があるな。「アンインストール」で有名な石川智晶さんが歌っている。いい曲なので、一度聞いてみるといいぞ。
▲オプションパーツ、そしてツインテールをとりはずした状態。ツインテは動く
●まとめ
では、レビューを少し。
小さいサイズながらも、完成度が高い。
可動域が良好で、さまざまなポーズが取れる。美少女プラモデルにさして関心がなかった人にも「お」と思わせてくれる。
パーツの色分けも十分で、非常に手軽に完成品をおがめる。
パーツの中で、特に顔の差分がよく、物言わずとも「個性」が感じられる。
ただ、「少し小さい」というのは気になる点だ。
だいたい同じ価格帯の色分け済みプラモと比較した場合、どうしても割高感が目立ってしまう。
「SDガンダム」とほぼ同じ大きさで、4800円という定価は、高いとは言わないまでも強気と言って差し支えない。
需要の少ない「萌え系プラモ」ということで、価格設定に顧客への「甘え」が出たのかな、と勘ぐってしまう。
自分は専門店の特売で、2割引きで買ったのだが、そのぐらいの価格帯がちょうどよいと思う。
あと、パーツに関してだが、手のパーツに一つぐらい差分があってもよかったと思う。
握りこぶしの手しかないのだが、開いた手を(せめて片手分)、つけてくれてもよかったと思う。
▲手首のパーツ
パーツに関してもう一つ指摘しておくと、見えにくいが、青いものが混ざっているのがお分かりいただけるだろうか?
金型に流しこむ際に、比率がまずかったのか、あるいは離型剤かもしれない。
ただ、パーツそのものの強度やはめあいに問題はない。欠陥とは言えない。
それに、わざわざフレームアーム・ガールズを組む人間は、このぐらい簡単に修正できるだろうし・・・
サイズが小さい点も、「飾っても場所を取らない」ので美徳になりうる。
関節を組む時に少し硬い部分(特に足の付け根)があるが、強度不足で壊れやすいよりはずっといい。
自分はエアガン用の潤滑スプレーで、滑りをよくした。かなりなめらかになるので(自己責任で)お試しあれ・・・
結論を言おう。
美少女プラモに興味のない方にもオススメできる。
むかし、「いいフィギュアの条件は、自分で立つことだ」の言葉を伝えた知人が、武装神姫でぐりぐり遊んでいて、「楽しいのだろうか?」といぶかしんだものだが、なるほど、少し楽しみがわかった気がする。
ちなみにその知人は、「アクリジョン」の存在も教えてくれた。
いろいろありがとなー
彼が教えなければ、「フレームアームズ・ガールズ」を組むことはなかっただろう。
と、最後に個人的な礼をのべて、今日はここまで。
ご愛読感謝。
▲世の中にはこんなものがある
→「ストライカーVer」はこちら
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