2018年12月24日月曜日

タミヤ ハセガワ 1/72 飛燕Ⅰ丁 作り比べ

 
日本で手に入りやすい飛燕戦闘機のプラモデルには、2種類ある。
 
タミヤ製のものとハセガワ製のものだ。

今回は、1/72スケールの飛燕Ⅰ型丁を作り比べる。
 

二つのキットの主な相違点は以下の通り。
 

●タミヤ製
・製品が新しい(実物の調査結果が反映されている)
・新しいためパーツの精度が高い
・ただし価格が高い(この記事の時点では1720円)
  
●ハセガワ製
タミヤに比べて金型が古い
パーツの精度はまぁまぁ
・そのため価格が安い(この記事の時点では864円)
 


▲風防。右がタミヤ製、左がハセガワ製
 


もう少し、パーツの違いを説明しておくと――

 
タミヤ
パーツ点数が多く、一つ一つも組みやすい。実機をデジタル採寸したデータを使っているため、再現度が高い。
 
また、別売りで迷彩デカールが売られているので、むずかしい塗装をしなくても迷彩柄が再現できる。
 
 
・ハセガワ
パーツ点数が少なく、組むのに時間がかからない。キット自体は20世紀からある古いもののため、現在のキットに比べたらパーツの精度が高くない。

ただし、タミヤにはないパーツ、パイロットと燃料タンクがついている。


▲説明書の違い。これがタミヤ
 
 

▲ハセガワ。ハセガワはシンプル
 
 
では、実際に完成品を見て比べていこう。
 


 
▲タミヤ製
 


 
▲ハセガワ製(迷彩はタミヤ製のデカール)
 
 
同じ飛行機と言っても、模型化した場合はメーカーによって個性が出る。

タミヤ製がイタリアのMC202に近く、ハセガワ製がイギリスのホーカーハリケーンを思わせる。



 
▲胴体機関銃の部分。上のタミヤ製は、機関銃の部分が実機と同じように別パーツになっている。ハセガワ製は胴体に直接彫刻がほどこされている。
 





▲機体の裏。上のタミヤ製はモールド(彫刻)が細かい。
 
 

▲コクピット。座席一つ見ても、やはりここは20年近い時代の違いを感じる(タミヤ製は2018年発売)

なお、ハセガワ製は計器類を胴体につけるため、この写真にはない。パーツとしてはちゃんとある。



●ハセガワ1/72 飛燕――総評

ハセガワの1/72飛燕の初版は、1973年。余裕で20世紀だ。

パーツ構成は、今の目で見るとめっちゃシンプル。コクピットに操縦桿すらないのはさすがに驚いた。

組んだ後のプロポーションも、現存している実機とくらべるとのっぺりしていて、どちらかといえばイギリスのホーカーハリケーン戦闘機に近い感じがする。

外付け式の燃料タンクとパイロットフィギュアが付属するのはタミヤ製に勝っている部分だが、肝心の造形に、やはり時代を感じる。とくにフィギュア。一言でいうなら、「古墳から発掘された埴輪」当時は3Dスキャンの技術とかもなかっただろうから、仕方ないね。

ただ、すぐに完成品をおがめる、という点では、非常に優れている。

パーツ数が少なく、組み立てにむずかしい部分もない。パーツとパーツも素直に合うので、古いキットにありがちなすき間埋めやヤスリがけもあまり必要ない。


投稿主は、組むだけなら40分、塗装を入れても一日で組めてしまった。


このあたりが、21世紀の現在でも定番商品として売られ続けている理由だろう。



 
●結論:組み立てるならどっち?
 
結論を言うなら、タミヤ製のほうを組んだほうがいい。
 
キットとして新しいため、パーツのはめあいが素晴らしく、実物を細かく再現している。プロペラの取り付けにポリキャップを用いていて、回して遊びやすい。
 
 
 
ただ、ハセガワ製は「安い」という美点がある。
 
 
安く、それにプラモデルとしても決して不出来ではない。気軽に飛燕の完成品を見たいと思うなら、選択肢として上がってくる。
 
二つは対立するキットではなく、うまく住みわけができたものだと思う。




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