セパスチャンネルは、携帯電話の多くが二つ折れだった年に販売された、買い切り型のRPGだ。
まだ今ほど携帯電話の性能がよくなく、あくまで「電話のついでに○○ができる」な時代だった。
だから、機器としての制約がある中、楽しめるよう趣向が凝らされた作品がいくつかあった。
セパスチャンネルは創意工夫が凝らされたゲームで、のちにDSi、そしてswitchでも配信された。
■ストーリー
パーティキャラは4人で、うち2人が失ったものがあり、それを探していくのが序盤の目標になる。
ボーイ=記憶
ガール(ボニー)=自分の影
舞台は、ほんのりディストピア臭のするサンライトシティで、ポリスという名の私企業の警備隊が襲いかかってくる。
そして、セパスチャンネルとは、パーティキャラの一人セパスチャンが放送するラジオである。公営の「コクミン放送」が気に入らず、私的にラジオ番組をやっていて、ゲーム開始時には「ポリス」のお尋ね者になっている。
この3人+1匹が、シティ、ひいてはこの世界を問題を解決することになる。
■グラフィック・BGM
グラフィックは、当時の携帯のグラフィック表示能力に準拠して、ドット絵である。一部じゃ「MOTHE風」なんて言い方もされる。歩行グラはちょこちょこよく動く。
2.5頭身なこともあって、手を肩まで上げたりするポーズなんかはよくわかる。
BGMは種類こそ少ないものの、良いものが多いと思う。お気に入りは、セパスチャンが操作キャラになったときに流れる曲。似てないものの、俺は『MOTHE3』で操作キャラがダスターに変わった時の曲を思い出した。
■システム
特徴としては、操作キャラを変更できて、それで物語を進めていくことだ。
例えばボーイはポリスの警戒線を突破できないが、ワン(犬)なら通過できる、って感じだ。
この操作キャラの変更は謎ときにも応用されている。
ダンジョンはいずれも「短い」といって差し支えのない規模なんだけど、このギミックのため、あっという間に突破できるってことはなくなっている。
少々残念なのが、戦闘である。
シンプルな対面式――つまりドラクエやMOTHEと同じなのはいいのだけど、最低限の戦略性しかない。
攻撃属性が「クール」「熱血」「精神」「物理」の四種類で、そこから適宜選んでいくのだけど、MP消費量が多く、序盤~中盤は連射ができない。
それで終盤になると、パーティキャラ4人が個別の行動を放棄する代わりに強攻撃ができる「連携」が強くて、(セパスチャンの全体攻撃を除いて)いまいち使わなくなる。
MPの回復手段が戦闘中の「ガード」(専門の回復アイテムはない)で、このシステムは好きなんだけど、これも活かしきれてるとは言えない。
ザコ敵の掃除に差し支えが出て、
「ガードガードガードしてようやく攻撃」
と、ただ時間のかかる要因になることが多かった。
決して低くはないエンカウント率と、敵が少々堅いこともあいまって、ストレスがたまらなかったと言えばウソになる。
■詩
このゲーム、なんと詩が評価されている。
キャラの一人ガールが詩作をしていて、それをセパスチャンネルで取り上げているからだ。
劇中でもちょくちょくでてくるし、だいたいこのゲームのキャッチコピー、
「僕らがひとつずつなにかを失えば、世界はバラバラになってしまうんだ。」
も、詩的だ。
個人的な感想を言うと、うん、そう言いたくなる精神状態は理解できるけど・・・って感じ。この詩作をした人が哲学書や(自己啓発本ではない)心理学書を読んでいたら、こうは書かなかっただろうなーっとは考えてしまう。
ただ、ゲームの主題には合っているので、そういった意味では優れた詩作と言える。
■総評
クリアまで5時間ちょい。
短めだけど、よくまとまった作品だと思う。
ストーリーはよいし、セリフ回しも悪くなく、最後は「ああ、そうくるか」と納得させてくれる。星新一の、中編ぐらいのショート・ショート(妙な言い方だが)を読んだあとみたいな読後感がある。
個人的に、妙に気になる点があるとすれば、前に自分が書いた投稿用の小説に、えらく設定が似てるところがあるってことか。
※ ※ ※
「セパスチャンネル」の、Switchのeショップでの値段は500円。自分はセールで450円のとき、余っていたポイントを丸々使って購入した。
500円以上の価値は絶対にあるので、ヒマを見つけてやってみるといいだろう。
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