2025年2月22日土曜日

【休館前駆け込み】「DIC川村記念美術館」に行ってきた

 


千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」へ行ってきた。


かなり有名な絵があることで、界隈では知られていたのだが、赤字が続いたことから、休館→規模を縮小して移転が決まった。休館になるのは3月31日(予定)。最後の連休の日に、行ってきたわけだ。


東関道の佐倉IC から、車で15分ほどで、川村美術館に着く。京成佐倉及びJR佐倉駅から、バスも出ているぞ。

駐車場から少し歩いて、券売をしている小屋に着く。5人ほど並んでいた。

券売の小屋から美術館までは、5分ほど歩く。サイロみたいな建物なので、見落とすことはないぞ。道中、スギの人工林や、白鳥のある池などが楽しめる。


 

「見学している人よりも警備員の方が多い日が目立つ」

なんて揶揄されたこともある美術館本体だが、この日は普通に盛況だった。

館内は当然、撮影禁止なので、買ってはがきで、飾ってある絵を紹介する。


 

モネ『睡蓮』。超有名な絵だ。初めに入った部屋の、4枚目ぐらいにある。

すっごい感動するというわけではないが、不思議な魅力がある。スイレンなので、池が書いてあるはずなのだが、見ていると炎が揺らめいているような錯覚を起こす。人物は描いていないはずなのだが、妙ななまめかしさを感じる。


 


ルノワール『水浴する女』

ルノワールの特徴がよく出ている裸婦の絵だと思う。地べたに座っているということは、水浴び前だろうか? いろいろ想像を掻き立てられる絵だ。


 

「シルヴァット」と題されたこの絵は、実はピカソの手になる。描かれたのは1954年で、キュビズムにはとっくの昔に目覚めていたはずだが、この絵は腕以外の構図はおかしくない。

ものほんの絵を見て見ると、向かって右側にノートから破り取られたようなギザギザがあり、何かの練習で描いたのが巡り巡って美術館に展示されたのでは? と思える。


 

この美術館でも、特別扱いされているのが、レンブラントの「広つば帽をかぶった男」だ。この絵だけ、個室に飾られている。

通路から部屋に入ってみた時、「お」となる。

なんでもない、ヨーロッパ近世のおっさんの絵に見えるかもしれないが、実物は中々。

モデルになった人物の、何気ないが一番いいところを切り取って、写真以上の情報量で描き切っている。生きているような感じがしてきて、夜中に30分ほど見つめあっていると語り合えそうな気がしてくる。この絵を見るためだけに、佐倉くんだりまで来てもいいぞ。





この美術館はシュルレアリスムの作品も扱ってるんだけど、一番有名なのが、マックス・エルンストの『石化した森』だろう。

硬質の板に、エッチング? (なんというかわからないが)とにかく彫刻の技術を使って、小麦畑に似た「森」を浮き上がらせている。


 

▲地元では有名な中庭


「DIC川村記念美術館」の入館料は1800円(大人)。安くはないが、元は十分取れるラインナップだ。


 


◆なぜ休館に?

考えられる理由

①土地柄

②立地


①土地柄

美術館が存続していくには、なんといってもリピート客が必要だ。

思うに、千葉県の佐倉という土地は、美術館向きの土地ではなかったのではないか?


佐倉はもともと、千葉県の語源になった千葉氏の居城があり、江戸時代には江戸の「後詰め」として、代々有力な老中が入城した。明治~昭和には「佐倉連隊」が置かれ、軍都として発展した。wikiで出身人物を見ても、自治体の規模の割に武官を結構輩出している

つまり、実務的な土地柄で、美術をたしなむような人が少なかったのではないかと思う。


 

②立地

佐倉市の土地が、微妙に行きにくいのも問題だろう。

佐倉は上野駅から1時間ほどかかり、近いとは言えない。しかも美術館は、そこからバスで20~30分ほど揺られる必要がある。

それに東京は大小の美術館がたくさんあって、それらをさしおいて「千葉に行こうか」とはなかなかならない。

佐倉市には、その筋では有名な「国立歴史民俗博物館 」があるのだが、自分の経験上、美術館と博物館の客層は微妙に違う。モネやシュルレアリスムの絵を楽しむ人が、千葉氏や佐倉連隊に興味を持つかと言われたら、「そういう人もいるだろう」レベルだろう。


もし美術館が、東京よりの船橋(ふなっしーで有名。事実上、東京のベッドタウン)や成田(空港で有名、インバウンドが見込める)にあれば、休館、規模縮小にまでは至らなかったと思う。

最後に美術館の沿革を。


1990年(平成2年) 5月2日 - 開館

2008年(平成20年) 3月15日 - リニューアルオープン。

2025年(令和7年) 4月1日 ー 休館(予定)


                                             以上

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