あちこちのサイトで全話が見れて、いまや一般教養になりつつある『チャージマン研』
去年からこつこつ見ていたのを全話見終わったので感想を少々。
【シナリオ】
うん、まあ・・・。シナリオに心血注いでいるわけではないな。
ただ、ヒーローもののお約束、
平和な日常 → 事件 → 主人公変身 → めでたしめでたし
はきっちり守っており、そこは(そこだけは)首尾一貫している。
逆に言えば、その他はあらゆる面で一貫性を感じない。
【音楽・SE】
あんまりBGMについてふれているケースが見られないが、個人的にはかなり好きである。
とくに研が変装した後の音楽はかなり好き。中盤のギターがかっこいい。
ただ、そこまで流れる前にだいたいジュラル星人がやられてしまう。――なんでジュラルって、すぐ死んでまうん?
SEは、・・・まあ、仕事してないよなあ、とは思う。
ただ、SEづけの作業は、制作の最後の方の工程にならざるを得ないから、
セル画が遅れる → SEがつけられない → そのまま放送日へ
の悪循環が発生していたであろうことは想像に難くない。
【声優】
棒、大根、活舌の悪さという評価を得ている声優たちだが、むしろ演技指導の問題ではないか。
「ゆっくりと、大げさにしゃべる」というアテレコの基本を行なえば、それなりに味のある演技になったと思う。
【作画・美術・背景】
建物が左右対称ではない、定規を使うべきところで定規を使っていない、着色を途中までやって諦めているなど、やっつけ仕事が目立つ。時間が足りなかったのだろうなぁ。
ただ、研の作画だけは(比較的)安定しており、通すところは通したって感じか。
あと、動画のコメントでは不評だが、最初のタイトルのフォントも嫌いじゃない。話とあっているかは別問題だが。
【キャラ】
意外に見落とされがちな事実だが、キャラの書き分けはちゃんとできている。
これは、敵側の個性がワンパターン化している、せっかく新キャラが登場しても一話で死ぬなどの理由でレギュラーの頭数が少ないことも理由の一つだが、それでもキャラ立てに成功している。
ヒーロー、ヒーローの妹(兼ヒロイン)、マスコットロボ(たまにサポート役)、両親。そして、悪役と悪役の親玉。
各キャラの領分を守ることで、個性を出すことに成功している。
【その他】
実は、全65話の中で、似た話が一つもない。
いや、厳密に言えば、みんな似たり寄ったりの話なのだが、「ヒーローもの」という枠組みの中で個性を出そうとしているのは疑いない。
舞台が遊園地であったり、地底や海中であったり、ハイジャック(笑)された旅客機の中だったりと、趣向を凝らした形跡はうかがえる。
【総評】
5分という放映時間の制約による、ぶつ切りのシナリオ。
制作環境の悪さからくる、作画崩壊、鳴らないSE、セル画の使いまわし。
そして、早口で明瞭とはいえない声優の演技。
「チャージマン研」は、これらが奇跡的に集まって、「ツッコミ教材」としてのおもしろさが確立されている。
視聴者は秒殺されるジュラルに「早い!」とツッコミ、「SE仕事しねえな」とぼやき、セリフが聞き取りづらいことをいいことに自由に空耳を想像する。
人間にとってもっとも面白いものが「意図しないことによる笑い」であるのなら、「チャー研」はまさに「不意打ち」の宝庫である。
かようなように、優れた結果をもたらしている作品ではあるのだが、一つ、重大な欠点がある。
「ニコ動のコメントなしではとても見れない」
のだ。
次々と流れるコメ(ツッコミ)なしでは、正直かなりきつい。
とりあえず見ておけと言われる「三大エピソード」でさえ、「そこそこおもしろい」にすぎなくなってしまう。
思えば、一人で見るものではなく、知り合いといっしょに見てわいわいするアニメだろう。
※ ※ ※
個人的に一番笑ったのは、第19話の銀行強盗の回で、チャゲアス似のジュラルが瞬殺されたところ。比喩表現ではなく、ウソ偽りなく瞬殺されている。
コメントで一番笑ったのは、18話の囚人が脱獄する場面。
「みんな、いそげー!」と扇動するジュラルのポーズの下に「みんな、クソゲー!」と打たれていたところか。
少し残念なのは、すっかり「チャー研」のクオリティに慣れてしまって、途中からもはや色の塗り残しぐらいでは笑わなくなってしまったことだろう。
もう一度頭を空っぽにして見たい。
ちなみに、筆者が頭を空っぽにしてやりたいのは『クロノ・トリガー』ぐらいである。すごいぞチャー研、クロトリと並んだぞ!
最後に、個人的におススメな視聴方法を教えておく。
それは、一度か二度視聴した後、絵を見ず「セリフ」だけ聞いて楽しむのだ。
本当に、
「魚雷じゃないか」「虹裏ベルト」「なまこわんわん」「メイちゃあああん」
と聞こえるのだから困る。
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