実体験を語ることにこだわってきた「不思議な話」シリーズ、話のタネがなくなったので今回で最終回としたい。
またなにか体験したら、書くかもしれない。
これから語るのは、自分の中で最も古い話だ。
※ ※ ※
小学二年生のとき、兵庫県の加古川市で暮らしていた。
神戸と姫路のだいたい中間地点にあって、重巡洋艦「加古」の名の由来になった加古川が流れている。
当時、そのあたりで一番高い、15階建てのマンションに住んでいた。
とても晴れた日には、ベランダから淡路島が見えた。
お正月があけて少ししたある日のこと、急に朝早くに目が覚めた。
時間は5時半が過ぎるか過ぎないかぐらいで、いつもならまだ夢の中の時間だ。
ところが目をとじても寝つけない。枕もとの時計を見て、横にある学習机の上にある本棚を見て、また目をぎゅっととじた。
また時計を見る。5時40分ぐらいだった。
ねむれないので、天井の電気をずっと見ていた。とつじょ、
どおん、ぐわんぐわんぐわんぐわん、
と世界が鳴った。
立ち上がって、ぼくは学習机の上の本棚が倒れないように押えていた。
おちてきた漢字ドリルが、ひたいにあたった。
時は1995年1月17日。阪神淡路大震災が起こったときの、出来事だった。
これから語るのは、自分の中で最も古い話だ。
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小学二年生のとき、兵庫県の加古川市で暮らしていた。
神戸と姫路のだいたい中間地点にあって、重巡洋艦「加古」の名の由来になった加古川が流れている。
当時、そのあたりで一番高い、15階建てのマンションに住んでいた。
とても晴れた日には、ベランダから淡路島が見えた。
お正月があけて少ししたある日のこと、急に朝早くに目が覚めた。
時間は5時半が過ぎるか過ぎないかぐらいで、いつもならまだ夢の中の時間だ。
ところが目をとじても寝つけない。枕もとの時計を見て、横にある学習机の上にある本棚を見て、また目をぎゅっととじた。
また時計を見る。5時40分ぐらいだった。
ねむれないので、天井の電気をずっと見ていた。とつじょ、
どおん、ぐわんぐわんぐわんぐわん、
と世界が鳴った。
立ち上がって、ぼくは学習机の上の本棚が倒れないように押えていた。
おちてきた漢字ドリルが、ひたいにあたった。
時は1995年1月17日。阪神淡路大震災が起こったときの、出来事だった。
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