2026年4月14日火曜日

【レビュー】四式中戦車[チト]試作型 (1/35 ファインモールド 四式中戦車[チト]試作型)

歴史小説家の司馬遼太郎は、若いころ戦車兵だったのだけど、その時の愛車「チハ戦車」を、たしかこんな風に評していた。

 

「いい戦車だった、戦争ができないということを除いて・・・」


どういうことかというと、大砲の威力と装甲の厚さが足りないってことだ。戦車としては、文字通り致命的だ。

そんなチハ戦車を魔改造した三式戦車をさらにいちから設計しなおしたのが、今回組み立てる「四式戦車」だ。

攻撃力と防御力を兼ね備えた、ねんがんの主力戦車になるはずの戦車だった。

 



それで今回組むプラモデルが、そんな「四式中戦車[チト]試作型 (1/35 ファインモールド」だ。

 

さっそく、キットの中身を確認。





パーツは、かっちりした印象で、パーツ数のわりに組みやすそうな印象だ。ファインモールド社は戦車模型が得意なメーカーで、このあたりの不安はないな。

 


ただ、キャタピラがプラスチック製の分割構造なのは、ファインモールドの製品では初めて見た。それまでは、ゴム製のぐるっと巻いていたからだ。

 

モデラー的には、だらっとしたゴムよりかちっとしたプラスチックパーツのほうが良い。ただ、キャタピラを巻き付ける足回りと「あわせ」がよくないとストレスがマッハになるので、そこは心配だ。

 


とにかく、組み始める。予定では、


①車体組み立て

②足回り(転輪)組み立て

③車体の細部装着

④砲塔と大砲を組み立て

⑤全体塗装

⑥車体に足回りと履帯(キャタピラ)装着

⑦細部の仕上げとデカール貼り


 

だいたいこんな感じで、組んでいく。



車体組み立て





車体は、箱を組み立てるみたいに組んでいく。このあたりは、他の戦車模型と変わらないオーソドックスなものだ。

車体の真ん中にある四角い箱は、弾薬箱だな。車体を組み上げてしまうと外からはほとんど見えなくなるのだが、パーツとして用意されている。



 

②足回り(転輪)組み立て






足回りは、この時代の日本の戦車でよく見る「つるまきバネ方式(コイル・スプリング式サスペンション)」だ。
チハ車とほぼ同じ構造、同じ大きさだけど、転輪のボルトの位置とかは若干違う。



③車体の細部部品の装着


車体に付属する細かいパーツも取り付けていく。



③-1 エンジングリルの金網


このパーツは「ディテールアップパーツ」という別売りパーツで、まあ、実車にもあるカスタムパーツみたいなものだ。もっともこのエンジングリルは、エンジンにゴミが入らないようにするためのもので、実車だとカスタムどころか必須パーツなのだが。

 

 

③-2 車体フック


▲取り付けた

 

車体フック。戦車が沼地にはまったりしたとき、ここにロープを結び付けて、ほかの戦車に引っ張ってもらって脱出する。

 

 

③-3 ロープをまきつける金具


 

脱出に使うロープを巻き付けるための突起部分(正式名称は知らない)も接着する。

 



④砲塔と大砲の組み立て

 

砲塔の組み立てもしていく。

 


砲尾のパーツ分割はこんな感じ。砲弾をこめる部分と、狙いをつけるスコープだ。

 


砲身と砲尾部分。専門用語を使うと、左から砲身、駐退復座機(砲弾の発射を吸収する装置)、薬室と閉鎖機(砲弾を込めて密閉する装置)。



砲塔に大砲その他をすえつけると、こんな感じになる。右側面の装甲版をはずして、一時的に車内が見えるようにしている。


砲尾(大砲の後ろの部分)の、弾を装填する部分もちゃんと再現されてのは良い。組んでしまうと見えなくなる部分なので、省略されるキットも多いのだ。

 

なお砲身は、別売りの金属製のものを使った。


▲右が砲身。左はさっき出てきた、エンジンの金網とかを再現するための別売りパーツ。

 

金属製のものを使うと、リアル度がアップする。些細に見えるアップグレードだが、せっかく作るならわざわざ買うのがモデラーという生き物だ。


 

ただ、金属なおかげで、砲を固定する部分が重さに負けて砲身がおじぎをしてしまう。

 

砲を完全に接着してしまってもいいのだが、動かして遊びたいので動くままにしておきたい。 

 

こんなとき、自分の場合は、砲の固定部分に「消え色pit」などのスティックのりを塗りたくって、砲身の可動部分のわずかな隙間を埋めてしまう。


乾燥したのりはゴムみたいに微妙な弾力があるので、摩擦が働いて砲身が固定されつつ、少し力を加えれば動かせる状態にすることができる。

 

ただ難点は、スティックのりを塗った部分はどうしても汚くなってしまうことだが・・・


⑤全体塗装

ある程度車体が組み上がったところで、塗装をする。


塗装の手順は、

下地材として黒色で全体を塗装

 ↓

その上から、レトロな感じを出すためにシャンパンゴールド色を吹き付ける

 ↓

最後に、当時の日本の軍用車両によく使われたカーキ色を薄く塗布する






まずは下地代わりに、タミヤのフラットブラックのスプレーで全体を塗装する。こうすることで、プラモデルの元の色を隠す。あ、写真には、同時に組み立てていた九四式自動貨車も映っている(写真上)
 



それから、同じくタミヤのシャンパンゴールドを吹く。これで、20世紀のレトロな乗り物っぽさを出す。
 
 
最後にエアーブラシで、カーキ色を吹く。使ったのはホビーカラーの「陸軍カーキ」なお、写真の撮影は忘れた。
 
 


⑥車体に足回りと履帯(キャタピラ)装着

 


車体の塗装と並行して、履帯(キャタピラ)も塗ってしまう。一度銀色で塗った後、黒色でドライブラシ(薄めた塗料をなでるように塗る事。これで陰影をつける)を施した。
 
 


足回りにキャタピラに巻き付けて、接着剤で連結部を固定した。少し手間のかかる作業ではあったが、パーツどうしの合いがよかったのでストレスはない。ただ、色を塗ってしまうと接着剤の付きが悪くなるので、そこの部分はよけて塗った方が吉。
 




⑦細部の仕上げとデカール貼り



砲塔のてっぺんにある戦車長用のハッチと、ペリスコープ(戦車用の潜望鏡)を組み立てる。ペリスコープとはのぞき窓のことなので、透明のパーツで再現されている。




ほんでこれが、エンジングリルといっしょについている、ペリスコープ用のディテールアップパーツ。真ん中の金色の点がそれだ。写真じゃ伝わらないがすごく出来がいい。そして、ちっこすぎて折り曲げる加工が全くうまくいかない
 
金色の点を挟むようにある銀色はそれぞれ、ピンセットの先っぽと魚から釣り針を外すための針外しだ。ここまで労力を費やしてもパーツを折り曲げる作業は困難を極め、今回の組み立てで最難関の作業だ。ちなみに、この最難関作業を12回行う必要がある(ペリスコープ一個につき、二つこのちんまいのを取り付ける必要があり、そしてペリスコープは6個ある)。
 
 
なんとかペリスコープに装着こそ成功したものの、出来が悪すぎてちょっとお見せできない。まあ、乗員が身を乗り出すためのハッチを閉じてしまうとこの部分は全く見えなくなるので、良しとしよう。
 



車体とは別々に塗っていたロープも取り付ける。非常に美しいモールド(彫刻)で、ファインモールドの技術の高さがうかがえる。

 


色が全部塗り終わったら、ナンバープレートとかのデカールを貼る。今回再現するのは、昭和20年代に千葉にあった陸軍戦車学校に所属していた車体だ。



最後に、おもちゃっぽさをなくすため、つや消しクリアーを吹いて、フィニッシュとなる。


▲つや消しクリアーを吹いて、乾かしている様子


四式中戦車は、二両しか作られなかった(もうちょっと作られた説もあるけど、とにかく数量しか生産されていない)。

 

試作してテストしている最中に戦争が終わったので、用がなくなったのだ。

 

それまでの主力だったチハ車より格段に強力な戦車なので、実戦に出たら戦場の様相が変わっただろうと、言われている。




⑧完成

 









▲こういう感じで、大砲を後ろに向けた状態の実車写真が残っている。どうもこの方が、戦車にとってバランスがいいらしい。
 

さて感想タイム。
キット本体の出来は素晴らしく、ストレスなく組み合わさる。ただ、転輪のパーツの車軸を差し込む部分は少し浅くて、しっかり位置や角度を見ながら接着する必要がある。

組み立て式履帯の精度は良く、覚悟していたストレスが全くなかったのも素晴らしい。
 
キット本体に関しては、文句がない。
 
ただ、別売りのディテールアップパーツの加工と接着はくそ難しく、もうちょっと何とかならんかとは思う。ディテールアップパーツを取り付ける部分にそれ用のくぼみとかあったら、ぐっと楽になるとは思う。

概して、組もうと思えば簡単に、凝ろうと思えばむずかしくなる、魅力キットだ。
 







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