2020年9月19日土曜日

『神隠し しょぅじょ贄』 感想とレビュー


エロゲはほとんどしないのだけど、ふと手を出した『神隠し しょぅじょ贄』


もともと怪談や都市伝説は好きである。タイトルで買ったわけだな。

それで、ロリのりょーじょくものっていう業の深いものながらも、一筆書くぐらいにはよいと思ったのだ。


 ※ ※


システム

よいとは言っても、最初からとっつきがよかったわけではない。

基本的なゲームの進め方としては、祟り神となって村を徘徊し、少女の背後から忍び寄り、神隠しをする。

神隠し成功の褒美がエロシーンというわけだ。




この神隠しが、一筋縄ではいかない。システムが独創的なのだ。

左クリック押しっぱなしで相手に忍び寄り、あらかじめ画面上に設定してある特技で、相手の気をそらしたり自分が加速したりして近づく。

相手も相手でこちらの気配を察し、警戒を高めて、最終的には逃走する。



こちらが「接近」を100パーセントにすればこちらの成功で、

あちらが「逃走」を100パーセントにすればあちらが逃げおおせる。



「うまくいかない・・・」



これが、当初の実感であった。

このシステムは、他に類似例を思いつかない独特のものだ。少なくとも俺は、これと似たゲームを思い浮かべることが全くできない。

おかげで勝手がわからないのだ。

どうもうまく、はいよれない。

あと少しというところで、逃げられる(ちなみに難易度普通)。

見方を変えれば、ゲームバランスが非常によく調整されているということだが――


慣れるまではひたすら「クソ」とか「うんこ」とか呻くはめになった。


もっとも、キャラたちの行動パターンが一定であることに気づいた時点(すでに数時間プレイした後だったが)で、神隠しの成功率は飛躍的に向上したが。



キャラ

キャラは、魅力的なロリっ子を幅広く取りそろえたって感じか。

日焼けした短パンっ子、金髪ワンピース、虫取り大好きっ子、少女巫女に幼女巫女。約一名、未就学児と見まがうのもいるが、当然18歳以上なのだろう。

この中で、鳴子(虫取り大好き)という子のキャラ造詣が、頭一つとびぬけている。

具体的に、ちょっと説明しにくいのだが、まあ、「ひょうひょうとしている」というかなんというか。

自分で創作活動をする人間は、彼女のようなキャラを登場させたいと、思うのではないだろうか。



エロ

苦労して神隠しをした、初見の第一印象は、


「うわー、きっついなぁ」


だった。

パッケージ絵から、ロリ系とはわかっていたし、まあ、「無理やりックス」だろうなとは思っていたが――

具体的に言うと、「狭間」っていう無間地獄みたいなところに引き込まれて魑魅魍魎に襲われるって内容なのだ。




「溶岩魔人ラヴァゴーレムにとらわれた城之内君」みたいなシチュエーションで犯されるのがあって、思わず笑っちまったぜ。


個人的な印象では、そんなにエロさは感じない。

シチュエーションが上級者向けというのもあるだろうが、女の子を襲う側に性欲が欠いている場合が多いことも原因だろう。

魑魅魍魎たちの「アレ」が、性欲と言っていいかどうかは微妙なところだし(性欲というか生存欲?)、主人公は主人公で性欲はないらしい。


私見では、エロゲの主人公には性欲があってほしい。


主人公にエロへの欲求がないのでは、こちらもエロを、感じにくいのではないだろうか。



シナリオ



このゲームを買った理由の一つに、レビューで「シナリオがいい」って評価されていたからでもある。

実はこのゲーム、謎解き要素がある。


「誰が神隠しを願ったか」だ。


そもそも主人公の祟り神は封印されて久しかったのだが、「誰か」が「誰か」の神隠しを願ったことによって、目覚めた。

舞台となる村には敵意が存在し、そして主人公以外の怪異の存在もある。


シナリオ全体としては、鉄板のテーマをよくまとめている。


・友人との別れ
・学級内カースト
・連れ子と継母
・無理心中


これらの詳細が、「神隠し」をすることによって明らかとなっていく。

レビューだと「アニメ化してほしい」という賛辞があるけど、これはゆえのないことではない。


祟り神は「神隠し」を繰り返すことで力を取り戻していく。

少女たちの側でも、見えない相手である祟り神を認知し、神隠しされた大切な人を救うため行動を開始する。

それらが、「神隠しを願った者」の謎とからみあって収束し、終盤のカタルシスを目指すのだ。



まとめ

さっき「エロゲの主人公には性欲があってほしい」と書いたけど、むしろないからこそ、この作品の主人公の「品」が保たれているといえる。

これで性欲ギンギンだったりしたら、ロリコンの鬼畜だ。

あと、主人公自体が「謎」を追う存在ではないのも、結果として良いものになっている。

主人公はあくまで「祟り神」であり、少女を襲うのは、人間の要請によって行われる「祟り」の「穢れ」を祓うための手段でしかない。

人間を気にかけはするものの、誰が祟りを望んだか、のようなことに思いをはせる精神構造をしていない。

連綿と続くなさけ容赦ない運命に、一応の区切りをつけ、黒幕も含めた登場人物全員の「わだかまり」を解く。


それを行なったのが、善も悪もない「祟り神」であった。 

 

「神隠し」と、それにまつわる「人間の害」を解決したのが祟り神だという点が、変に教訓的になったり説話的になったりしなかった、優れた部分だと思う。

 

◆追記◆

ゴリ押しのためのコンボ

獲物を隠すために、ブログ主が多用したものを2つほど


踊る贄+ざわめき+誰かの視線

「踊る贄」は、他の操り技が発動中に発動すると、その他の操り技を即時発動可能にする。

「踊る贄」発動中に、獲物の背を振り向かせる「ざわめき」と背を向けている獲物をふりむかせる「誰かの視線」を交互に使う。

これで、相手は振り向いたり前を向いたりを繰り返し、数秒は動きを拘束できる



歌う小鬼+聴覚技

「歌う小鬼」は、これを発動中に他の聴覚技を使うと、その他の聴覚技の効果時間が延長される。また、発動待ちの技、発動街待ち時間を短縮できる。

「歌う小鬼」の効果の維持にさえ気をつければ、雑に強い。

てゆーか、二戦目の心などの特殊な相手以外はゴリ押せる。脳筋プレイのお供にぜひ。


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