2025年4月6日日曜日

武器学校・土浦駐屯地 春の一般開放イベントへ行って来た(2025)

昔、模型雑誌の特集で、70年近く前の戦車が自走するぞって記事を見た。

人間でも70になれば走れなくなるが、ましてや機械である。子ども心に、すげえと思った。

その戦車が保管してある、土浦武器学校の名とともに、しっかり記憶に刻まれたのだった。



そんなこんなで十数年経った去る4月5日、ねんがんの土浦武器学校に行ってきた。




陸上自衛隊の駐屯地って、春先になると花見のため一般開放されることが多いのだが、その機会を活用したのだ。

 

駐屯地内の砂利の駐車場に車を止め、簡単な荷物検査を受けてから、案内に従って進む。




しばらく歩くと、道路の上に、柱みたいなのが見えてくる。



これは、平たく言えばミサイルの発射機で、地上から発射され、敵の船とかを攻撃する。



▲正面から発射機を見る。正式名称は「12式地対艦誘導弾」

 


自衛隊車両の中でもマイナーな部類に入るけど、ここは「武器学校」なのでこういうのも展示できる。


 

 
で、となりにもミサイルの発射機が展示してある。
 


▲正式名称は「11式短距離地対空誘導弾」


ただしこっちは、飛行機を攻撃するミサイルを発射するもので、種類が違う。





ミサイルがあれば大砲もあって、これは大型トラックに大砲を積んだもの。2019年に部隊配備が開始された、わりと新しめの機材だ。
 

▲正面に「MAN」と書かれている。「人間」という意味ではなく、たぶん、ドイツの会社「MAN社」の意味。


係の人(当然自衛官)と、話してきた。

 
「これ、最近配備されたものですよね?」
「ええ。155ミリ砲を、自走化したものです」
「これ、弾薬はどこに積むんですかね?」
「3トン半に――、3トン半ってわかりますか?」
「わかります」
 6輪のトラックのことだ(荷物が3トン半積めるから、こう呼ばれている)
「クレーンがついた3トン半が随行して、補給します」
「155ミリ砲は、みんな自走化するんですかね? ヘリで積めるようなものは、残さない方針?」
 大砲だけなら、ヘリコプターで吊り下げて運搬できるのだ。
「この自走化したものは、C-2(シーツ―)に――C-2ってわかります?」
「わかりますよ」
 ちょっと前に配備された輸送機だな。
「それにのせて、運ぶことができます」
「あ、そうなんですか!」
 2016年に配備された戦闘車が積めることは知っていたが、これも積めるんだ。

そういえば、この「19式装輪自走155mmりゅう弾砲」が」配備される時、ネット上で「なんで装甲をしないんだ」って声があった。
 
装甲化すると、高速道路とかを走るのに支障をきたすし、素早い展開にも差しさわりが出てくる。

歩兵の立場から言えば、砲兵がすばやく戦場で展開してくれるのは、ありがたい。





土浦武器学校には、戦車っぽい見た目だけど戦車部隊じゃなく歩兵に装備されるものも展示してある。


60式自走106ミリ無反動砲は、展示看板で「忍者のような」と案内されたもので、ようは相手の戦車を待ち伏せて、積んでいる大砲でドカンドカンと不意打ちを見舞うわけだ。なお防御力はないので、撃ったらすぐ逃げる模様。

「60式」1960年採用という意味だ。さすがに古いので、今では全ての車両が退役している。

「武器学校」の名にふさわしく、古い兵器をたくさん展示している。


 

M4A3E8(イージーエイト)戦車は、もとは1941年に採用された戦車である。アメリカ製で、第2次世界大戦を扱った映画とかにはちょくちょく出ている。あ、追記しておくと、これをお目当ての戦車じゃない。お目当てのは、このおじいちゃんよりさらに10年ほど老けている。
 
ちなみに、ガノタならピンときたかもしれないけど、ガンダムEz8(イージーエイト)の名は、この戦車からきている。
 
こんだけ古い戦車があるのなら、自分が目指す戦車も間もなくでは? と思った道の先、学校の塀のところの屋根がついたスペースに、それはあった。

 




89式戦車、である。
 


 
89式戦車は日本初の国産正式採用戦車で、1929年に試作車(量産の前に試しに作ってみる車)が完成。日本史の授業で習う2.26事件にも出動していると言ったら、古さが伝わるだろう。
 
中にエンジンがちゃんとのっていて、人が乗り込んで、操縦できる。ようつべにもその様子が載ってるな。「動態保存」って言われる、古い乗り物の理想状態だ。
 
今回は走らせるイベントはなかったのだけど、見れて大満足である。
 

なお、隣には3式戦車ってのも並んでいる。1944年製で、こいつも古い。

89式も3式もガルパンで出ているから、見覚えのある人もいるかもしれないな。
 
 
隣の展示室には、めっちゃクラシックな大砲が展示してある。


▲四一式山砲。山の上でも使えるよう軽量に作ってあるので、「山」の砲。


 
▲一式機動四十七粍(ミリ)砲。さっき紹介したM4戦車と戦った。
 



▲四年式十五糎(センチ)榴弾砲。大正時代の大砲。


大砲に関しては、日本国内に現存している旧式の大砲はほとんど集まっているのではないだろうか?(靖国神社とかにもちょっとだけ展示してあるが)。

 
大砲だけでなく、武器学校には、変な車両がいっぱいある。



 
これは自走多連装ロケットシステムM27。アメリカ製。いわゆるロケットランチャーだな。
 


 
こっちは日本製のロケットランチャー。「75式130㎜自走多連装ロケット弾発射機」
 
 

さっき少しだけ話題に出た、16式機動戦闘車。You tubeのショート動画で「戦車みたいなのに抜かれた」ってのがあるけど、抜かしていったのがこいつ。
 



これはかなりめずらしい車両。「11式装軌車回収車」って言って、戦車とかが故障した時、こいつが回収して、修理できる場所まで運ぶ(あるいは、修理できる場所まで行く大型トラックまで運ぶ)。戦車を運ぶ戦車といっていいな。
 
 

 
発煙弾発射機がついているのに「へー」となった。これは、敵の目をくらます煙幕を張るための装置なんだけど、戦闘車両ではないこいつにもついているのは意外に思った。
 

戦車みたいな大物だけでなく、小物も見ることができた。
 
鉄砲がまとまって展示していある部屋があって、そこにも入れたのだ。
 

こんなかんじで、ずらりと小銃、機関銃が展示してある。
 

 
FN P90。ベルギー製。近未来的なフォルムで、漫画やゲームで人気の銃。
「え、日本に実物あるの!?」ってビビった。部屋に入って右を見たら、真っ先にこれがあったのだ。
 
他にも、珍しい銃がたくさんあった。



62式機関銃の試作品。試作を得て、1962年に採用された。自衛隊の黎明期を支えた機関銃。
実際に62式を撃った経験のある人の話では、扱いにくい機関銃だったそうだ。
 






「金山式九六型軽機関銃」これ、ここで存在を初めて知った。

帝政時代に、九六式軽機関銃ってのがあったのだけど、その練習用の機関銃だそうだ。

わざわざ実弾を使えない練習用を配備せず、本物を空砲で撃って練習すればよくね? と思った。まあ、自衛隊でも、訓練でエアガンを使うこともあるが(室内戦闘の訓練とかで実弾を使うと、建物がボロボロになるため)。



 

銃以外にも武器があって、これは擲弾筒(てきだんとう)というもの。うんと大雑把に言うと、手りゅう弾とかそのぐらいの大きさの爆弾を、遠くに飛ばすための武器。小型のグレネードランチャーみたいなものだな。



本来この一般開放イベント、「桜並木を見に来てね」ってイベントなんだけど、だいたいの人の一番のお目当ては戦車だと思う。


カメラを持ったにーちゃんやおっちゃんのほとんどは桜は見てなかったし、俺自身も戦車がお目当てだったし。


とにかく、ミリオタはこのイベントを楽しめますよって話。車が用意できるのなら、直接学校に車で乗りこめるので、ドライブがてらに行ってみるのもよいだろう。