今日の午前のこと。パソコンで作業をしていると、斜め後ろからどさりと音がした。
作業に集中すると周りを気にしなくなるのだが、他の人の「やばい」との声がする。
後ろで人が倒れていた。
目と口を半開きにして、ぐったりとしている。
「もしもーし、大丈夫ですか?」の呼びかけにも応じない。
その場にいた何人かが集まって、倒れた人を仰向きにする。「回復体位」と誰かが言ったので、俺が首を上げて顎を突き出させ、気道を確保した。
口と鼻先に手をあてて確認する。
(息はかすかにあるな)
誰かが他の職員を呼びに行く。同じ部屋の女性が119番に通報した。
電話ごしから、隊員の指示が伝わる。
「誰か、この中で救急救命法を受けたことがある人…」
俺が手を上げた。
すぐに心臓マッサージを開始する。
「1、2、3、4、5、1、2、3、4、5…」
死戦期呼吸(心停止による酸素不足からくるしゃっくりのような呼吸)が見られたので、いよいよまずいと思う。
だが、幸い。救急隊員が到着した。マッサージ開始から5分ほどのことだった。
10分はマッサージを続けるつもりだったから、ありがたかった。
心臓マッサージを交代する。手を離したとき、自分が押していた部分が、赤くあざになっているのが見えた。
すぐに救急車で、搬送されていった。
20分ほどの出来事だった。
その後、病院からマッサージをした人物についての問い合わせがあり、名前と年齢を教えた。
そして、倒れた人の「処置が終わった」とも連絡を受けた。
処置が終わった。助かったのかそうでないのか判然としない、嫌な言い回しだ。
「どうなったかは、個人情報保護の観点から、ご家族の人以外には教えられません」
「手当した本人にも教えてもらえないんですか?」
助かったかどうか結局わからないので、今日は一日、機嫌が悪い。
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