JR千葉駅から、外房(そとぼう)線の各駅停車にゆられておおよそ一時間半。
田舎にありがちな無人駅に降り立ち、そこから徒歩で10分ほど。
小さな港が見えたら、目的地の「勝浦ダイビングサービス」はすぐだ。
今日は体験ダイビングに参加する。
まずは問診票みたいな書類を記入する。健康状態の確認のためだな。
それから、スタッフのN(あだ名)氏に、潜るための簡単な説明を受ける。
・水中でのハンドサイン
・レギュレーター(口にくわえるアレ)から空気を吸うコツ
・海中での上手な浮き方
・装備の説明
などだ。
N「前に一度、潜られたことあるんですよね? どこで潜られたんですか?」
俺「岩手県です」
N「めずらしいですね! なにかあだ名ありますか?」
あだ名?
俺「ないです」
少し雑談して、潜ってきた人が戻ってくる。
N「彼はGさん(あだ名)で、こっちはBさん(こっちもあだ名)です」
俺「よろしくお願いします」
N「俺さんに何かあだ名はありますか?」
あ、そういうノリでっか。
俺「ユウで」
クッキーをもらった。与那国みやげらしく、辛かった。
まもなく来た担当インストラクターK氏は、ナイスミドルであった。
潜りから戻ったばかりだったのだが、親しみを込めたあいさつをし、早々とシーフードヌードルをかきこむと、俺を海にいざなった。
と言っても、大海原に繰り出したわけではない。
今回は、ふるさと納税による体験ダイビングだ。
▲だいたい25×50メートルぐらいの大きさ
我々は、コンクリートで囲われた一画へとやってきた。
数十年前、イケスとして造られ、今は放擲された設備だ。程よい広さと深さ、そして何より初心者が海の藻屑にならない囲われた空間である。
▲装備一式 空気ボンベ、レギュレーター、BC(浮袋が仕込まれたベスト)、手袋、フィン。あと写真にはないが、おもりをつけたベルトも装着した。
ボンベを背負い、ゴーグルをはめる。ウェットスーツはすでに借りたものを着ている。
そして今回は、水中の様子を激写すべくアクションカメラを持ち込んでいる。
そう、つまり俺は、単なるマリンハイザックから、ザクマリナー偵察型になったのだ!(意味不明)
タラップを降りる。水温は20度ほどて、むしろ外より温かい。
まずは壁に取り付けられた手すりにつかまって、うまくバランスを取る練習をする。背負うボンベは10キロ以上あり、油断しているとすぐに病気の金魚のようにひっくりかえるからだ。
これが良好だったので、すぐに水中深くへと潜った。
透明度は2メートルほど、深さは5メートルほど。
4キロのウェイトをすでに腰に巻いていたが、なおうまく沈まなかったので、改めて2キロ、水中で追加した。
ここで、今潜っている勝浦市について説明したい。
勝浦市は、千葉県南部、外房と呼ばれる地域にある。有名な九十九里浜に、わりと近い。
千葉県は和歌山と似たところがあって、南に行けば行くほど田舎である。
とはいっても、東京駅から電車で3時間ほどで行けるので、ダイビングスポットとしてはそれなりに知名度がある。
千葉県でダイビングで有名なのは、他に館山がある。これは「内房(うちぼう)」と呼ばれる、東京湾に面した地域だ。地理的に近い伊豆と、海の様子は似ているらしい。
勝浦のある外房は、また違った海中だそうだ。
うまく沈まない初心者のために、海中に荒縄が張ってあり、これを伝って進む。
道中では、タチウオ、黄色と黒の横じまの魚(たぶんチョウチョウウオ)、よゐこ濱口が無人島で「とったどー」としている魚(名前は教えてもらったが忘れた)、が現れた。
海中では、水中ノート(子どもがお絵かきに使う、バーを左右に動かせば書いたものが消えるアレに似てる)で、意思疎通を行なう。
ちなみにこのノートの裏側には、ネオジオンのマークが描かれている。K氏いわく「自作」とのこと。
海中に進むのに慣れてきたら、縄から離れる。壁際には、段々畑のように平たい岩(風化したコンクリ?)が積み重なっていて、すき間に様々な生物がいた。
いくつかの魚の幼魚、エビやカニ、そしてコウイカだ。
威嚇するコウイカの子ども。触腕をかかげ、色が朱色に変わった。と思ったらすぐに泳ぎ去った。
それほど広くない生け簀だが、砂地や河原のような底面、岩が折り重なった地点、海藻が草むらのように茂っている場所など、いろいろ楽しめる。
陸地に近い(とゆうか目と鼻の先)なこともあって、大きな魚はあまり見かけない。
中央左に光ってるのが、見かけた一番大きな魚。タイの仲間だと思うが、名前まではわからない。
アオウミウシ。日本中の海にいる最も有名なウミウシ。二匹いるので、交尾中かもしれない(ただし、産卵時期からはずれている)
潜っていた時間は50分ほど。これは体験ダイビングにしては長めのほうで、普通はもうちょっと、波打ち際で慣れるためばちゃばちゃしているらしい。まあ、2回目だからな。
このことからも、ダイビングはわりとすぐに体が慣れるスポーツだともいえる。
●感想
陸地から近い位置での、浅い場所を潜ったにすぎなかったが、それでも十分楽しめた。
当日は、はるか南の海上にある台風のため、若干の波があって透明度もよくはなかったのだが、それでも生き物は見れたし、陸地では味わえない体験ができた。
▲お食事処「ニュー福屋」にて
帰りは勝浦駅でいったん降りて、ご当地B級グルメ「勝浦タンタンメン」を食べた。
魚介系の出汁がきいたうまから味。もともと漁師や海女さんにふるまわれていたそうだが、納得だ。
海から上がった後ではすごくうまく感じた。
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