数年前のことだ。
東日本大震災の復興支援ボランティアに参加した。
大阪から夜行バスに揺られて、一度北陸方面にまで出る。無料開放されていた磐越自動車道を進んだ。
うとうとしていたところ、急に電気が一斉に点灯し、起こされた。どうもトイレ休憩らしい。
クッソうぜえな、腹立つからトイレしておくか、とバスを降りる。
年末のことだから、雪が積もっていた。さくさくと音がする。あたりは暗く、何もない。すげえ田舎だなと顔を上げたとき、白い巨大な塊が、目の前にそびえていた。
暗闇の中に浮かぶ真っ白なそれは、異様な存在感があった。山だと気づいたとき、趣味の中でぎりぎり五本の指に入らない登山趣味がうずき、登ってみたい、と思った。
それが、初めて「磐梯山」見たときのことだった。
とゆうわけでやってまいりました磐梯(ばんだい)山。
場所は八方台登山口で、もっともポピュラー(磐梯山アタッカーの8割)なアプローチ地点だ。
この登山口、駐車場が目と鼻の先にあって、これが人気の秘訣。
ただネット上で「駐車可能台数 約100台」と書いてあるものの、どう好意的に見ても50台ぐらいしか入らないので、注意が必要だ。休日にはもちろん満杯だ。
しかし、徹夜してマイカー(レンタカー)を転がし、朝5時に現地入りした俺にスキはなかった。
あ、5時ぐらいの時点でもう残り5~6台しか停めるスペースがなかったから、これから登ろうとする方、もっと早く現地入りすることをおススメする。
▲登山口
で、登山届を出し・・・
山行開始だ。
見ての通り、非常に登りやすい道が続く。傾斜はほぼなく、あってもゆるい。
20分ほど歩くと、開けた空間に出る。
目につくは廃屋、鼻には硫黄のにおい、
そして足元のぶくぶく。
磐梯山は立派な活火山で、最近だと1888年にでかい湖を四つほどこしらえる噴火を起こしている
ここは、「中の湯」跡で、かつては宿泊施設だったらしい。なかなか趣きがあって、利用したかったぞ。
ここからなら、今から登る磐梯山もよく見えるし。
沼にかかる板をわたると、しばらくは、石がごろごろした道(ガレ場)が続く。
▲たぶん噴火でできた地形
「中の湯」から20分ほど歩くと、しばしば視界が開けた場所にさしかかる。写真の撮りどころさんだ。
二回ほどよさげな景色を見ると、稜線をまたぎ、しばらくは山の南側中腹を歩く道になる。
小規模だが崖くずれが起こっている場所があるから足元注意。
登り始めから1時間半ほどで、「弘法清水」か「お花畑」、どっちに行くか選べる分岐が出てくる。
せっかくだから、俺はお花畑を選ぶぜ!(どのみち弘法清水はあとで通る)
こんな感じの高原(溶岩台地というのかもしれない)に出た。
花は、それほどでもない。時期が悪かった。
花をめでたい人は、6~7月にくればいいと思う。
ただしトンボがめっちゃいた。トンボが好きな人は今日みたいなお盆に行こう。
▲中央が磐梯山。少し近づいてきた
お花畑をぐるりと迂回するようなルートを通って、山頂を目指す。
あとたった600メートルだ!(600メートルを直進できるとは言っていない)
本格的な休憩ポイントだ。
山小屋は2件ある。どちらも座れる場所があって、軽食が食べられる。
500ミリリットルのお値段300円。市販品と同じだが、すげえうまかった。
高いと思った方、標高1800メートルまで人力で運んでくるコストを思い出して、どうぞ。
弘法清水という、水の補給場所もある。味は、まずくはないが、もっとおいしい水は探せばある、ぐらい。
弘法清水の隣に、山頂への最後の道が続いている。
なぜかそなえつけてある鐘を鳴らして――
いざ鎌倉!
道は、大きめの石が複数転がっている。木々の張り出しも多く、登りやすそうに見えてそうでもない。
木々の間から景色を見渡すと、いよいよ高いところに来たと実感できる。低い雲を高みの見物だ。
▲斜面。かなり急に見えるが、山道はもう少し穏やかな場所を通っているので安心
▲桧原湖。グランダー武蔵ごっこやアヒルさんボートで遊べる
▲山小屋と山頂のだいたい中間地点から、山頂を見上げる
そして・・・ ついに・・・
山頂に到着。標高1816メートル。
とりあえず地味で目立たない三角点をタッチしておく。
で、お社もタッチ。この石の塊をわざわざ山の上まで運んだのか・・・
山頂の眺めはさすがで、百名山に選ばれるだけのことはある。
・・・ここで山頂からの景色をお見せしたいのだが、撮影に使ったアクションカメラの保存がうまくいっておらず、SDカードからデータを吸い出せない。くっそ、アマゾンセール品め。
いちおう、パノラマ写真は携帯で撮ったのでどうぞ。
口で説明すると、
日本で4番目に大きな湖猪苗代湖が正面にひろがり(ただし写真では雲の下)、背後には赤錆色の赤埴山(1,430m)がそびえる。
風はやや強く、数分で曇ったり晴れたりする。晴れると陽を遮るものがなく暑い。
登った感想を少し。
非常に登りやすい道で、良かったと思った(小並感)
今回挑戦した八方台登山口ルートは、標高1100メートルぐらいから登り始めるルートで、日帰りでぱっと行ってぱっと帰るにはちょうどいい。実際、7時半から登り始めて、13時過ぎには元の駐車場に戻れた。
問題があるとすれば、途中、似たような森ばかりで中だるみする場所があることぐらいか。
あと、お盆のこの時期だと山小屋 → 山頂 のルートがけっこう混む。朝でも混む。
あ、もう一つ、言っておくことがある。
トンボが、すげえ多い・・・
▲飛んでる影のほぼ全部トンボ
どのぐらい多いかというと、登ってきた人が思わず「指に止まらないか試したくなる」ほど飛び回っている。
弁当のカレーを用意し、「ブログ用に写真を撮るか」とカメラを取り出したその時にはスプーンの柄に止まっている。
トンボが死ぬほど嫌いな人は卒倒するだろうから、登山はあきらめたほうがいい。トンボでショック死したい人は、ワンチャンあるかもしれない。
さて、下山である。
適当に風景を撮りたかったのだが、携帯のバッテリーが切れそうで、果たせなかった。
いちおう途中の山小屋で少しだけ充電させてもらったのだが、携帯電話はいざとなったときのガチのライフラインなので、エネルギー切れはNGである。
なので、蝶の写真を一枚だけ。
アサギマダラの仲間だと思われる。
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