2019年4月6日土曜日

雑記:落ちのない話 その2



▼虫の描写あり。注意



●二匹の犬

小学生ころに住んでいたマンションの向かいに工場があって、そこに犬が二匹、飼われていた。

その飼い方はあまりよろしくないものだった。

エアコンの室外機ぐらいの大きさの檻に、それぞれ一匹ずつ閉じ込められていた。

檻はお手製のものらしく、鉄網(エキスパンドメタルって言われるもの)でできた扉だった。

学校帰り、あるいはその前を通りかかったとき、犬をなでるのが、幼い私の習慣だった。

網の隙間から指を突っ込んで、腹を掻くようになでる。犬の方も心得ていて、自分が近づくと、網に体を押し付けた。

さて、二頭いた犬のうち、奥にいるものはやや気性が荒かった。

落ち着きがなく、まずいことにしばしば吠えた。

私は奥の犬もなでたが、手前の犬より明らかに時間が短かった。手前の犬をなでて、奥の犬をなでて、また手前の犬をなでる、といったルーチンだった。

小学一年生にとって、吠える犬は近づきたい相手ではなかった。

今にして思えば、あの吠える犬はもっとかまってほしかったから、吠えていたのかもしれない。もう少し、なでてやればよかったなと、後になって思った。

それから私は転校し、10年以上たった。大学生になってから、あの場所がどうなっているのかと見に行った。

工場は新しく建て直され、犬たちは檻ごと、いなくなっていた。




●鉄道浪漫コーヒー


中学生のころ、「鉄道浪漫コーヒー」というものにはまっていた。

ただし、コーヒーが好きだったわけではない。

この缶コーヒーについてくる、コインが目当てだった。

缶の上の部分にカバーがかけられていて、そこに500円玉ほどの大きさのコインが入っていた。表面には電車(汽車)の絵が、裏面にはその車体の説明が彫られていた。

電車にさほど興味がなかったものの、このコインは気に入っていて、見かけたら必ず買っていた。こいつが売っている一番近い自販機がJR京橋駅で、当時住んでいた大阪北部からわざわざ電車を乗り継いで買いに行ったこともあるぐらいだ。

本気で、コンプリートをと、考えていた。

しかし、淘汰の激しい缶コーヒー市場のこと。

数年で鉄道浪漫コーヒーは自販機から消え、全種類収集は果たせなかった。

ヤフオクやメルカリをのぞいたものの、出品された記録を残してことごとく売り切れであった。



最近、サブカルに強いリサイクルショップをぶらついていて、傷ついたこのコインを一枚だけ見つけたので、思い出して書いてみた。




●CADとうなぎ


一時、大阪の本町にある職業訓練学校に通っていた。ハローワークの紹介による、受講費がほぼ全額税金で賄われるコースだった。

その学校はネイリストとCADオペレーターという、よくわからない組み合わせがコースとしてあって、自分はCADを習っていた。

クラスメートは主婦が多く、正直、卒業後に製図に携わるとはちょっと思えない人たちだった。こうゆうのこそ、税金の無駄使いと言うのだろう。

かくゆう自分も、製図の勉強より、色彩検定の勉強に熱を上げていた。自分はやれと言われたらやりたくなくなる性格だし、期末試験の前に部屋の掃除をするタイプの人間だ。

かといって、本来のお勉強をさぼっていたわけではない。

言われたとおりに図面は描いたし、それなりに作業も早かった。もちろん毎日出席した。――この学校は歩いて日本橋に行ける距離にあり、お勉強の後の電気街巡りはなかなか楽しかった。

つらつらと書いたが、今回はCADや訓練学校の話ではない。

うな丼の話だ。

昼休憩の短い時間で行って帰ってこられる位置に、うなぎ屋さんがあったのだ。

そのうなぎは脂っこいながらもさっぱりしていて、薄暗い店内にうつしだされたほくほくしたご飯とあっていた。そして、肝吸いがうまかった。毎日食べたいものではないにしても、月に一度は口に入れたい一品だった。

もっとも、二回しか、その店には行けなかったのだが。

現在でもそうだが、うなぎを頻繁に食べられるような身分ではなかった。バイト先で余った食材を安く買って糊口をしのぐ生活だった。

最近、その学校に通っていたころに作った図面データを見つけたので、いっしょにうな丼も思い出している。




●今までにやったエロゲー3本


くわしいゲーム名は、3本とも覚えていない。

・砂漠の旅の果てに殺されるゲーム
初めてプレイしたエロゲー。タイトルは「あか」「くれない」「しゅ」のどれかだったと思う。

紀元前の中東をモチーフにした、砂漠で活動する人々の群像劇風の作風で、その世界観が気に入って買い求めた。

とくに、砂漠を旅する時のBGMがよくて、今でも脳内で再生できる。

このゲームのオチは、意味不明で後味の悪いものだった。

旅の果てに訳の分からない岩場にたどり着いたと思ったら屈強な番兵がいて、そいつにヒロインが殺される。それも単なる殺傷ではなく――番兵に瀕死の重傷を負わされた主人公が、ヒロインの不思議な力で肉体が入れ替わって、主人公の体のままヒロインが死ぬ。

なんだこの後味の悪いからめ手。



・スプーンのような器具で星のかけらを追い回すゲーム

魔法少女になったヒロインが夜な夜な、錫杖みたいに長いスプーンで星のかけらを追い回す話。

なんで彼女がこの奇妙な境遇になったかは覚えていないが、たしかヒツジ(ヤギ?)のぬいぐるみになった主人公を助けるためだったと記憶している。

当時、ぬいぐるみでヒロインとせっくすできるのかと、他人事ながら心配になったものだ。

最後は、マンゴーを育てるようなグリーンハウスで、元に戻ったものの記憶を失った主人公に、ヒロインが告白して終わり、だったと思う。

このようにあまり記憶が定かでないのだが、主人公の友人が牛乳瓶メガネをかけていた、というしょうもないは、なぜか覚えている。



・ヴァルキリーなんたら(あるいはなんたらヴァルキリー)

このSRPGが自分の記憶に燦然と残っているのは、主人公がクソ弱かったからである。

この軟弱な主人公はとにかく打たれ弱くて、剣士の姿かたちをしているくせに前線に出せない。敵の一撃でHPの4割がもっていかれ、連パンされると確実に死ぬ。攻撃力も低くて敵が倒せず、返しのターンで相手に囲まれて死ぬ。

しかも腹立たしいことに、この軟弱が死ぬとそれだけでゲームオーバーなので、始末に負えない。おまえはドラクエⅤの幼年期主人公か。

回復魔法が使えるから、戦闘で無用の長物とまでは言わないものの、味方の数が少ないので、こいつもアタッカーに使わないといけない。

剣士の姿をしたホイミスライム、というのが、こいつの正確な評価だろう。

その時点で手に入る最高の武器と防具を装備させれば、幾分ましになるものの、メインヒロインその1(ヴァルキリー)とその2(幼馴染)には及ばない。

常に相手の攻撃範囲に入らないように抜け目なく行動し、ヒロインが弱らせた敵をようやく倒す(手柄横取り)。

強いヒロインに守られるとは、エロゲーらしいと言えばエロゲーらしいが、プレイヤーはおもしろくない。

このゲーム、結局最後までやらなかった。

意地になってプレイする精神及ばず、使っていたノートパソコンがフリーズを起こしたのだ。



使っていたパソコンは、

・名前 FMVNB55JTJ
・OS windowsXP
・CPU  1.50GHz
・メモリ 248MB(笑)
・HDD  80GB


で、10年前の当時でさえ、富士通のリサイクルセンターに送ってしかるべき代物だった。

ちなみに、このゲームを買い求めた理由は、投稿する小説の資料としてだったと思う。

一体俺は、ナニを書くつもりだったんだ・・・




●高い椅子



https://item.rakuten.co.jp/make-space/okm-c687xw-fsf7/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_102_1_10001076より購入(画像も引用)

最近、奮発して、ちょっと高級な椅子を買ったんですよ。

値段は5万円。運転免許証の取得費用をのぞけば、自分が人生で買った2番目に高い買い物だ(ちなみに1位は64式小銃のエアーガンで、55000円)。

この椅子、非常に作りこまれている。



高さ調節はもちろんとして、背あても自在に動かせるし、お尻を乗せる部分までも前後に調節できる。腕をのせるアームさえ高さ調整できて、クッションもふかふかしている。

だが・・・

しかし・・・・・・

だがしかし。

自分に微妙にあっていない・・・・・・

座る位置、もたれかかる角度、高さ、それらが少しずつずれて、どうにも収まりが悪い。

いくらあちこち調節しても、納得がいかない。腰に、ひざに、背中に、違和感がある。クッションを敷いても、背もたれに挟んでも、ここぞというところにピンとこない。

もちろん自分が、値段一万円前後の安いオフィスチェアに尻と腰が慣れすぎた結果ともいえる。

それにしても、高い買い物だった故に、そして商品としての欠陥はないゆえになおさら、不満が残る。

まあ、仕事で多用したホテルの支払いでたまった楽天ポイントを、そこはかとなく使って買ったのだが。




●エンマコオロギを飼わなくなった理由


エンマコオロギを知っているだろうか? 野原とかで、足元でぴょんぴょんはねているゴキブリに似た色をした太ったバッタが、そいつだ。

その虫を、小学生のころ飼っていた。

この虫は、近くの河原にたくさんいて、子どもでも容易にとらえることができた。

当時虫が好きなだったので、いっぱいとってきて、虫かごに入れて飼っていた。エサはキュウリやナスやかつおぶしで、キュウリが多かった。

ある日見ると、動かないコオロギがいた。虫かごの真ん中らへんで、顔をこちらに向けたまま、ずっと動かないのだ。

次の日もそこから動かなかった。

そのコオロギは死んでいた。

エサは足りているし、他のコオロギはみんな元気だ。なんで死んだのだろうかと、疑問に思いながらも、数日飼っていた。

死因がわかったのは、新鮮なキュウリに取り換える時だった。

コオロギがコオロギを、食べていたのだ。

首の根元に顔を突っ込んで、むしゃむしゃ食べていた。

それからは、コオロギを飼っていない。





●雪国の人に対する鉄板トーク


①「雪積もってるの見るの初めてなんですよー」
 
②「車の上に雪積もってるの初めて見て、思わず写真に撮りましたよ」

③「この間、生まれて初めてスキー行ってきたんですけどね――」

④「関西だと、今の時期にもう桜が咲き始めますよ」



おしまい




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